バッティング理論

栗山巧選手が昨季の5倍の本塁打を打てる方法

投手陣のキーマンがエース涌井秀章投手であるならば、打撃陣のキーマンには筆者は栗山巧選手の名前を挙げたい。来季(2012年)は中島裕之選手の残留が微妙な状勢だ。そういうチーム事情もあり、栗山選手には今季、3番を打つ準備をしてもらいたいと筆者は考えている。今後3割をコンスタントにマークすることができれば、栗山選手は2番に座るべく選手ではなくなる。以前は不動の1番打者としてチームに貢献したいと語っていた栗山選手ではあるが、今はクリーンナップへの意識が強い。インタビューでもいつかはクリーンナップを打ちたいということを何度か明言している。

今季の栗山選手のテーマは長打力にある。本人もそれを意識してトレーニングを続けており、20本前後のホームランを1つの目標として持っているようだ。確かに3番を打つということになれば、今季の4本はあまりにも物足りない数字だ。中村フェルナンデス両選手といった長距離砲がライオンズには多いため、栗山選手には必要以上のホームランは求められてはいない。だが不動のクリーンナップを目指すのであれば、やはり20本前後打てないようでは、相手投手に恐がってもらうことはできないだろう。

栗山選手の体型は177cm85kgだ。この身長でこの体重であれば、決してパワーがないということはない。ではなぜ今季の栗山選手は4本塁打で終わってしまったのだろうか?4本と言えば、57試合にしか出場していない平尾博嗣選手より1本多いだけだ。全試合フルイニング出場を果たした栗山選手であれば、最低でも二桁本塁打を打っていても不思議ではない。

だがごくごく自然に考えれば、本塁打の出る確率が栗山選手よりも平尾選手の方が高いのは当然のことでもある。非常にシンプルな考え方だが、その理由はグリップにある。恐らく理由と呼べる明確な理由はこれに尽きるのではないだろうか。平尾選手の場合はほとんどすべての状況でグリップエンドギリギリのところ、つまりバットを長く持っている。だが栗山選手の場合は初球からバットを指2本分以上短く持っている。これだけバットを短く持っていれば、当たり前ではあるが飛距離は短くなってしまう。

バットを短く持つと、なぜ飛距離が短くなってしまうのか?その理由は、バットがしならなくなるためだ。一般的に木製バットよりも金属バットの方が飛距離が出ると思われがちだ。しかしバットを正しく使っている選手にこの考え方は当てはまらない。バットを正しく使えていれば、実は金属よりも木製バットの方が飛距離は出るのだ。つまり木製バットの特性である「しなり」を使えていれば、その飛距離は金属バットに劣ることはないというわけだ。金属バットの場合は木製バットと違い、詰まっても打球は飛んで行く。だがスウィートスポットで完璧に打った際には、その飛距離は木製バットには敵わない。

バットを短く持つ栗山選手の場合は、バットのしなりを使うことができないのだ。もし栗山選手が本気でクリーンナップを目指してくるのであれば、今季はバットのグリップは間違いなく変えてくるはずだ。少なくとも昨季と同じグリップでは、ホームランの数を増やすことは難しい。バットのしなりと言っても野球経験のない方には分かりにくいかもしれない。そんな時は割り箸を想像してもらうと分かりやすい。割った割り箸を一本使い、細い方の先端をしっかりと手で固定し、もう片方の太い方の先端を指で曲げてしならせてもらいたい。通常の長さの割り箸であれば、簡単にしなるはずだ。もししならせた先に小さなボールでも置いておけば、しならせた反発によりそのボールを簡単に弾き返せるはずだ。

では今度は、しっかり固定する側の細い方の先端を短く持ってもらいたい。いわゆるバットを短く持つのと同じ状況だ。そしてまた同じようにしならせてもらいたい。今度はそう簡単にはしならなくなるはずだ。このしなっていない状況では、ボールを弾き返すことも難しい。この原理は、栗山選手のホームランの数にそのまま言い当てはめることができる。つまり栗山選手がホームラン数を増やすためには、バットを長く持てばいいだけの話なのだ。

バットを短く持つ時のメリットは、コンタクトのしやすさにある。つまりボールをミートしやすくなる。ということはバットを長く持てば打率が下がるのかと考えがちだが、そうとは限らない。これには色々な手法があるわけだが、バットを長く持つ分、少し短めのバットを持てば相対的に手からコンタクトエリアの距離は変わらなくなる。もしくはクリップエンドを残したバットを使えば、左打ちの栗山選手の場合はスウィング時、右手の握りにブレが生じにくくなる。つまりミート力が下がることがない。ちなみにグリップエンドを残したバットを使うと、手首への負担も少なくなるため、故障回避にも繋がる。

ミネソタ・ツインズに移籍した前千葉ロッテの西岡選手は182cmで80kgだ。栗山選手よりも筋肉量ははるかに少ない。それでも昨季は栗山選手の倍以上となる11本塁打を放っている。栗山選手と西岡選手の違いもやはり、グリップにある。西岡選手はグリップを残したバットを長く持って構えている。栗山選手も同様のグリップを採用すれば、恐らく本塁打が4本で終わるということはなくなるはずだ。それどころか、今季は昨季の5倍のホームランを打つことだって十分可能だろう。今季栗山選手には、来季安心して3番を任せられるだけの数字を残し、クリーンナップを打つ準備を一年かけて整えてもらいたいと筆者は大きな期待を寄せている。

2011年01月07日 15:15 

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