
2010/09/03 楽天vs西武 19回戦(平野)

| 3:28 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| 埼玉西武 | 5 | 5 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 14 | 12 | 0 | |
| 東北楽天 | 0 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 | 14 | 2 |
東北楽天vs埼玉西武19回戦(Kスタ宮城:16,116人)
埼玉西武ライオンズ 12勝6敗1分
継投:○平野将光~岡本篤志~グラマン
勝利投手:平野将光 3勝3敗 4.47
ホームラン:中村剛也(15号満塁弾)、細川亨(8号2ラン)
【ハイライト】
【ゲームレビュー】
夏場以降すっかりローテーションに定着した感のある平野将光投手だが、この日の楽天戦も先発し、6回3失点とQSを達成する働きを見せた。だがこの試合に関しては、あまり調子は良さそうではなかった。ストレートにいつもほどの勢いは感じられず、それに相まってフォークボールの威力も半減していた。だが調子が悪くてもしっかり試合を作れるようになった点は、今季の平野投手の大きな成長と評価して良いと思う。
さて、その平野投手だが、特徴を挙げるとすれば切れのあるストレートと数種類のフォークボールだろう。タイプとしてはオリオールズの上原投手に近いと筆者は感じている。もちろん投手としての完成度となれば上原投手には到底敵わないが、しかしタイプとしては同じタイプと分類して良いのではないだろうか。
筆者が平野投手を見ていて気になる点が実はある。それは腕の振り方だ。平野投手は腕をかなり上から振り下ろしている。これは恐らくフォークボールをコントロールするためであり、元ライオンズの森慎二投手との共通点だ。この投げ方は肩周辺の筋肉を酷使してしまうため、疲労が溜まりやすい。二十代前半のうちはそれほど気にならなくても、後半になってくると気になり出すかもしれない。
腕を真上から振り下ろす投手の共通点は、腕が遠回りしがちという点だ。腕が遠回りするということは、それだけ慣性モーメントが大きくなり、腕が身体から離れていこうとする遠心力が大きくなってしまう。森慎二投手がデビルレイズに移籍し、すぐに右肩を脱臼してしまった遠因には、腕を真上から振り下ろす投げ方があったと思う。
小野寺力投手も昨年までは腕を真上から振り下ろしていた。だが肩の故障が続いたこともあり、今季は腕が身体に巻きつくような投げ方にマイナーチェンジしている。これによりボールの切れが安定した。時々手痛い痛打を浴びてしまうのは、コントロールミスや配球ミスであることが多く、この投げ方を今後しっかりと自分のものにしていければ、選手寿命は必ず延びるはずだ。
さて、話を平野投手に戻そうと思う。やはりフォークボールを武器にする投手は、腕を真上から振り下ろすタイプが少なくない。その理由は、フォークが縦系の変化球だからだ。縦に動く変化球の場合、基本的に指先の感覚でボールをコントロールすることが難しい。これがスライダーやカーブと言った横の変化球であれば、例えばまったく同じ形でのボールの握り方であっても、縫い目の上に指を置くか、縫い目の横に指を置くかでボールの動き方はかなり変わってくる。
だがフォークボールの場合は、重要なのは指の掛かりではなく、人差し指と中指を大きく開き、その間に挟んだボールを上手く抜くことだ。この時指がかかってしまうと回転が生じ、ボールは落ちにくくなってしまう。カウントを取りに行く小さなフォークボールでよくありがちなパターンだ。
指先から上手くボールを抜くためには、人差し指と中指の先が平衡になった状態でリリースすることが理想とされる。そしてそれを可能にする最も簡単な方法が、腕を真上から振り下ろすことなのだ。だが先述した通り、この投げ方にはリスクが伴う。
人間の肩のメカニズムとしては、腕を肩よりも上に上げる動作に対応しているとは言えない。つまり腕を肩よりも上に上げる動作は、それだけで身体にストレスを与えてしまうわけだ。子どもの頃野球のコーチから「腕は真上から振り下ろせ」と教わった方は少なくないと思う。しかしこの教え方はベストではない。腕は、肩よりも上に上げるべきではないのだ。ではどうすればいいのか?その答えは、身体を傾ければ良いのだ。
直立した状態で、肩に対し腕を水平に上げ、肘を約90°の角度で曲げ内旋させる。そこからバックスウィングしてボールを投げれば、それはすなわちサイドハンドスローということになる。だがまったく同じ腕の角度で、身体の軸(体幹)をグラブ手側に傾けてみて欲しい。そうするとボールを握った方の腕は相対的に上に上がっていくはずだ。これが本来正しいオーバーハンドスローの腕の使い方なのである。この腕の使い方ができている投手は、比較的肩・肘にまつわる故障が少ない。ライオンズで言えば西口文也投手であったり、現在は肩の炎症で離脱しているが岸孝之投手が良い手本となるだろう。
確かに平野投手のように腕を真上から振り下ろそうとすれば、フォークボールは安定するし、ストレートには角度が付く。しかしボールの切れが安定するかと問われれば、それに対してはノーと言わざるを得ない。ボールに角度が付いたところで、ボール自体に切れがなければそれも意味は成さない。今季の平野投手は下半身に安定感が増し、スタミナもかなり付いて来た。もし今後フォークボールのコントロールよりも、ストレートの切れを優先する勇気を持つことが出来れば、必ず二桁勝てるだけの投手になっていくはずだ。そしてストレートの切れが良くなれば、自ずとフォークボールなどの変化球の切れも良くなってくる。
平野投手は間違いなく近い将来、ライオンズのローテーションの一翼を担う存在になるだろう。そしてそのための成長できる余白はまだまだ残っている。その余白を少しずつ埋めていくことができれば、1年後2年後には不動のローテーション投手に成長しているはずだ。筆者はその時の活躍を期待し、今季残り少なくなった平野投手の出番を見守りたいと思う。


2010年09月07日 01:37 Tweet


