
2010/08/26 ロッテvs西武 21回戦(西口)

| 3:03 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| 埼玉西武 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 5 | 0 | |
| 千葉ロッテ | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | × | 2 | 7 | 1 |
千葉ロッテvs埼玉西武21回戦(千葉マリン:29,154人)
埼玉西武ライオンズ 8勝13敗0分
継投:西口文也~H岡本篤志~H土肥義弘~●長田秀一郎
敗戦投手:長田秀一郎 4勝2敗 2.92
盗塁:片岡易之(51、52)
【ハイライト】
【ゲームレビュー】
先発した西口文也投手はこの試合での好投により、本格的に復活を果たしたと言っても良いだろう。1試合の好投だけでは、渡辺監督の言葉を借りれば「フロック(まぐれ)」ということになる。しかし2試合連続まぐれで好投できるほど、プロ野球は甘くはない。これで西口投手は完全復活と言って間違いないだろう。この試合のようなピッチングさえ続けていければ、勝っても負けてもしっかりと先発としての責任を果たすことができるはずだ。
今、西口投手にあってチームにないもの。それは勝利への強い執念だ。前回・今回と西口投手のピッチングを見ていると、テレビの画面からもヒシヒシと勝利への執念が伝わってくる。まず言えるのは、勝てない時と比べると配球をキャッチャー任せにしなくなった。この試合に関しても、西口投手は数え切れないほど上本捕手に対して首を振った。これは自分のボールに自信が蘇っている証拠でもあるだろう。ここぞと言う時に自分が一番投げたいボールを投げられる自信、その自信が今の西口投手の好投を支えている。
躍動感からすると、全盛期の西口投手と比べると当然だが今の方が劣る。だがその分一所懸命に投げている。もし今期中の復調がなければ、引退も考えなければならない背水状態だっただけに、悲壮なる思いで2軍調整を行ったのだろう。2軍での西口投手は、南谷和樹コンディショニングコーチ(理学療法士)に付き、身体を一から作り直したようだ。南谷コーチと言えば2008年までは楽天イーグルスのチーフトレーナーだった。それが2008年、野手に怪我人が続出したということもありライオンズに招聘された。さらにはアトランタ・ブレーブスの斎藤隆投手にコンディショニングの重要性を指導した人物としても知られている。
そんな南谷コーチと共にウェイトトレーニングなど、身体を基礎から見直した西口投手。それまでの西口投手は、ウェイトトレーニングはほとんど行わない選手だった。一時期軽く取り入れた時期はあったようだが、本格的なウェイトトレーニングと言えば、今回が初めてだったのではないだろうか。
ウェイトトレーニングと聞くと、筋肉を大きくしてパワーを付けるというイメージを持ちがちだが、しかしそうではない。G.G.佐藤選手の場合はそうだ。数十キロという重さのウェイトを持ち上げ、身体を大きくすることで飛距離を伸ばそうとしている。だが投手の場合は違う。たまに5~8kg程度の重さを使うことはあるが、しかし大半はもっと軽い。1kgであったり、500gであったりする。重くてもせいぜい4kgくらいだ。投手の場合、筋肉を太くしても球速はほとんど上がらない。大切なのは筋肉の量ではなく質なのだ。筋肉の質が良ければボールに切れが出るし、悪ければ切れは出ない。これがつまり、コンディショニングの良し悪しということになる。
こうして考えて行くと、西口投手の不調の要因はひとえにコンディショニングにあったと言うことができるだろう。もしもっと早くにコンディショニングの重要性に気付いていれば、ひょっとしたらもうとっくに200勝を達成できていたかもしれない。だが遠回りをしたとは言え、こうして復活してくれたことに変わりはない。西口投手はまだ37歳だ。これからの1試合ずつも同じような気迫で投げてくれれば、200勝という数字にも必ず手は届くはずだ。
そして西口投手が復活したことには、もう1つ大きな意義がある。今年の前半まではまったく勝てなかった西口投手が、2試合連続でここまで素晴らしい投球をしたことで、若手投手も改めてコンディショニングの重要性を知ることができたはずだ。技術は良いコンディションの下でしか活かしようはない。西口投手自身がそれを実感したことも、数年後に指導者になった際の大きな財産となるはずだ。
南谷コーチは楽天時代、ブログでこんなことを語っていた。「プロ野球選手が野球教室やメディアを通して世の中(特に子ども達、指導者達)へ正しいコンディショニングを教えることで、少しでも多くのスポーツ傷害を減らすことが出来るのでは」と。今回の西口投手の復活劇は、まさに南谷コーチの目標への大きな前進だったと思う。
ライオンズは現在多くの怪我人を抱えている。今後その怪我人を1人でも多く減らすことができれば、チーム内の競争はさらに烈しさを増し、チーム全体のレベルの底上げにも繋がる。チームの底辺が底上げされれば、当然レギュラー組のレベルも上がる。そうすれば選手層はさらに厚くなり、強いチームの礎ができる。ライオンズは近年怪我人が非常に多い。西口投手は怪我ではなかったわけだが、しかし今回の復活劇を大きな糧とし、2軍調整中の選手は早く1軍選手を脅かす存在になって欲しい。そして6連敗中と不甲斐ない戦いを続けている1軍に活力を与えて欲しいと切に願う。


2010年08月27日 10:53 Tweet


