
2010/08/22 日本ハムvs西武 20回戦(帆足)

| 2:25 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| 埼玉西武 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 5 | 0 | |
| 北海道日本ハム | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | × | 4 | 8 | 0 |
北海道日本ハムvs埼玉西武20回戦(札幌ドーム:34,781人)
埼玉西武ライオンズ 8勝12敗0分
継投:●帆足和幸~小野寺力~土肥義弘
敗戦投手:帆足和幸 10勝8敗 3.58
【ゲームレビュー】
やはりこれを流れだと言うべきだろうか。勝利の女神にそっぽを向かれたライオンズは、4位ファイターズ相手にまさかのスウィープを喫してしまった。大型連勝をした直後に連敗をしてしまうのは、まるで昨年のライオンズ同様だ。とても首位チームがすべき野球だとは言えない。
今日先発をしたのは一時の不調からは立ち直った感のある帆足投手だった。だが初回にいきなりの4失点。出鼻をくじかれてしまった。とは言え、ボールは決して悪くはなかった。変化球も切れていたし、ナチュラルスライダーがかかるストレートも走っていた。ではなぜ初回から4点を失ってしまったのだろうか。これは筆者に言わせるならば、出会い頭の交通事故のようなものだ。
帆足-細川のバッテリーからすると、早い段階で内角をしっかり突いておいて、最後は外角低めで勝負するための布石を打っていた。だが初回に関しては、ファイターズ打線は内角だけに狙いを絞っていた。初回の5連打はほとんどが内角を突いたもので、1球だけは内角を突き切れず、真ん中寄りに入ってしまったボールだった。いくらボールに切れがあるとは言え、内角だけに狙いを絞った打線相手に内角を続けては、5安打も不思議はなかった。これに関しては、帆足投手を苦手とするファイターズ打線の徹底した作戦勝ちと言うべきだろう。普通に考えれば、初回からここまで徹底して内角に絞ることはまず有り得ない。大村巌打撃コーチの勇気ある戦術は見事だった。
それが分かった後の帆足-細川バッテリーは、2回以降はほぼ完璧にファイターズ打線を抑えた。6回に糸井選手に2ベースを打たれるまでは、2~5回はボテボテのサードへの内野安打1本しか打たれていない。つまりこれは、帆足投手の調子が良かったという裏づけになる。立ち上がりも悪かったわけではなく、寧ろピッチングとしては非常に良かった。だからこそ5連打された時も、帆足投手はマウンド上で怒りにも似た表情を浮かべていた。実はこの試合の前、大村コーチはBaseball Times Weeklyに対し次のようなコメントを残したいた。「やっかいですね。ちょっと特殊な球、パームの握りでスライダーを投げてくる。でも秘策はあります。その価値? 5千億円くらい(笑)」。この5千億円の秘策が、初回の4点を生み出した。
さて、最後は気分転換としてホセ・フェルナンデス選手について少し書いておこうと思う。ここ最近のフェルナンデス選手は、哲学的コメントを好んで残している。今日も犠牲フライを打った後に「美しき野球は明日に繋がる」という言葉を残した。実はこの「美しい野球」とは、野球指導者でもある筆者が最たるテーマとしていることでもある。美しい野球を非常に分かりやすい言葉で説明をすれば「スモールボール」ということになる。日本ではWBCなどで「スモールベースボール」と言われていたものだ。
野球というスポーツは、連打を生み出すことは非常に難しい。だからこそ送りバントや進塁打を打って、一度連続ヒットをリセットすることで、次の打者に期待をかけるのだ。そしてこれを突き詰めていくと、ノーヒットで点が取れる野球ということになる。例えば筆者が考える理想は初回の攻撃で、まず1番がフォアボールで出塁する。そして2番の協力を得て盗塁。すかさず送りバントで1アウト3塁。続く3番はセカンドベース寄りのセカンドゴロを打ち、その間にランナーがホームイン。
トーナメントの多いアマチュア野球ではよく見られる戦術でもある。技術のレベルは当然アマはプロには叶わないが、野球の美しさと言えばプロよりもアマの方が優れている。野球とサッカーを比べれば、それは戦術であるかフィジカルであるかに大きな違いがある。野球は間があるため、より戦術が重要視される。一方のサッカーは戦術ももちろん大切だが、それよりは90分動き続けられるフィジカルの強さが求められる。野球よりもサッカーの方が選手寿命が短いという現実を見れば、決して間違った考え方ではないだろう。そして野球とサッカーのちょうど中間に位置するのがアメフトだ。
本来ならば、野球はアメフトよりも戦術に長けた美しいプレーをしなければいけない。しかし近年の日本のプロ野球はどんどんメジャー化しており、美しさに欠ける。確かに美しい野球は非常に疲れる。1球1球作戦を変える場面も出てくるし、試合時間が長くなってしまうこともある。だが野球本来の美しさがあれば、ファンだって試合の長短は気にしないはずだ。ちなみに筆者はエネルギー削減のための試合時間短縮には賛成できない。もちろん資源を守る努力は必要だが、スピードアップだけを求めてしまえば、野球が野球ではなくなってしまう。もしプロ野球が本気でエネルギー削減を考えているのならば、ドーム球場での開催を減らし、屋外球場でのデイゲームを増やせば良いのだ。そうすれば照明を使う必要はないし、試合時間を短縮せずとも、消費エネルギーは驚くほど削減できるはずだ。
話は少し逸れてしまったが、まさかフェルナンデス選手の口から「美しい野球」という言葉が聞けるとは思わなかった。とても似つかわしいとは思えない。だが守備力に不安のあるフェルナンデス選手だが、守備練習を一生懸命こなす努力家という一面も持ち合わせている。このような努力を怠らないからこそ、日本で常に一線級の活躍ができるのだろう。守備に関しても決して上手くはないが、しかし体格を考えれば仕方のない面もある。だが守備への意識は決して低くはないと筆者には見えている。
チームは3連敗を喫し非常に苦しくなった。こんな時こそ必要なのが、繋ぎを大切にし、美しく1点を取りに行く野球だ。フェルナンデス選手にはそれを可能にすべく、気迫こもったプレーをこれからも続けて欲しいと思う。今日最も印象的だったのは、犠牲フライを打った直後のフェルナンデス選手の悔しそうな表情だった。本来ならば喜んでも良い場面ではあったが、犠牲フライを打っても貪欲に悔しがるフェルナンデス選手、彼の存在があればチームは決して沈まないはずだ!


2010年08月22日 15:58 Tweet


