
2010/08/19 西武vsソフトバンク 21回戦(野上)

| 3:22 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| ソフトバンク | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 6 | 1 | |
| 埼玉西武 | 0 | 0 | 1 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | × | 5 | 5 | 0 |
埼玉西武vs福岡ソフトバンク21回戦(西武ドーム:21,219人)
埼玉西武ライオンズ 14勝7敗0分
継投:○野上亮磨~工藤公康~長田秀一郎
勝利投手:野上亮磨 2勝2敗 4.50
ホームラン:フェルナンデス(5号ソロ)
盗塁:栗山巧(12)、上本達之(2)
【ハイライト】
【ヒーローインタビュー】
【勝利監督インタビュー】
【ゲームレビュー】
いわゆるローテーションの谷間となったこの試合、先発をしたのは野上亮磨投手だった。ここ最近の渡辺監督の野上投手の起用法だが、筆者は実に巧妙であると感じている。まず今月最初の登板は8月5日だった。しかし先発として4回5失点によるKO。するとその3日後、僅か中2日でロングリリーフをさせ、無失点の好投。さらに中5日空けて今度は1イニングをパーフェクトリリーフ。そして中4日を空けてのこの試合の先発登板となった。結果は7回を投げて1失点という、期待以上の内容だった。
渡辺監督も言っていたことだが、野上投手は先発調整をさせると結果を出せずにいた。ここ最近の起用法はそれを踏まえてのことで、先発調整をさせて結果を出せないのなら、リリーフ調整をさせて先発をさせようという監督の意図があった。そしてこの試合はそれが見事的中した。野上投手のリリーフ起用についてはこちらのコラムでも触れているので、今回は投球内容について書き進めていこうと思う。
この試合最も良かったのは野上投手自身が語る通り、チェンジアップだった。涌井投手や岸投手が右バッターへもどんどんチェンジアップを投げている姿を参考にし、チェンジアップの使い方を変えたようだ。それまでの野上投手のチェンジアップは、主に左バッター用の球種だった。簡単に解説をすると、右ピッチャーのチェンジアップは抜けやすい上にシュート回転がかかっている。つまり右バッターに対して投げると、デッドボールになる危険性が非常に高い球種なのだ。そのためにほとんどの右投手は、チェンジアップは左打者の外角低め用のボールと割り切っている。少し前の野上投手もその1人だった。ちなみに日本球界でシュート回転しないチェンジアップを投げられるのは、恐らく岸孝之投手ただ1人だと思う。
最近の野上投手は、右打者に対してもどんどんチェンジアップを投げるようになっている。その一因は、フォークボールが社会人時代に比べると落ちなくなっていることにもあるようだ。チェンジアップは抜けやすいと書いたが、逆にフォークボールは引っかかりやすいため、左バッターに対してデッドボールになる可能性が高くなる。そういうこともありこれまでの野上投手の基本路線は、左打者にはチェンジアップ、右打者にはフォークという一般的な組み立てが主要だった。それがプロ入り以降フォークの落ちが優れないということで、右バッターへの決め球を欠いていた。その影響が大きく、被打率は右打者の方が4分も高く、被本塁打も左バッターには今季3本だが、右バッターには6本打たれている。ちなみに対戦打者数は左右でそれほどの大差はない。
フォークボールが落ちないということで、今まではどうしてもスライダーに頼るしか方法がなかった。野上投手のスライダーは素晴らしいボールだ。フィールドビューシートで観戦していると、惚れ惚れしてしまう。だが困った時にスライダーばかり投げてしまうと、いくらそれが良いボールであっても打たれる危険性は高まる。つまり配球率が高まれば、それだけ狙われる可能性が高くなるということだ。ちなみにスライダーという球種は、狙われると最もホームランになりやすい球種でもある。
野上投手は上述したような理由で、今までは期待通りの投球ができずにいた。しかし右バッターにチェンジアップを投げられるようになったことで、投球の幅が一気に広がったわけだ。この試合でも3ボールまで行く場面が多かったのだが、それでも慌てる様子はまったくなく、ボールゾーンのチェンジアップを上手く振らせていた。3ボールからボールゾーンに投げられるということは、ボールに切れがあることはもちろんだが、フォアボールになってしまうためによほどの勇気がなければ投げることはできない。そして右バッターに対するチェンジアップに自信を持てるようになった影響もあり、左バッターに対してはさらに自信を持って投げられているようにも見える。
野上投手の今後の課題を挙げるとすれば、それはチェンジアップの安定だろう。今現在、野上投手はチェンジアップの握りは固定していないようだ。今後この握りをしっかり固定できて、チェンジアップを常に安定した状況で使えるようになれば、長いイニングを投げると考えた時非常に楽になるはずだ。そうすればスタミナ面にもメリットが出てくるし、バッターを見下ろして投げる余裕もさらに増すはずだ。
次回の登板ではまたリリーフに戻ることが濃厚であるようだが、恐らく今シーズン、まだ数回は先発のチャンスがあるだろう。野上投手はそのチャンスをしっかりと物にし、来季こそはローテーションピッチャーに加わってもらいたいと思う。この試合の勝利は、ホークスから自力Vの可能性を消滅させた価値あるものだった。大きな自信になるはずだ。野上投手にはその自信を失うことなく、次回以降もリリーフに先発に、大車輪の活躍をしてもらいたいと思う。


2010年08月19日 22:11 Tweet


