
2010/08/08 西武vsソフトバンク 18回戦(大沼)

| 3:36 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| ソフトバンク | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 4 | 9 | 0 | |
| 埼玉西武 | 0 | 0 | 1 | 2 | 1 | 0 | 0 | 3 | × | 7 | 11 | 0 |
埼玉西武vs福岡ソフトバンク18回戦(西武ドーム:24,413人)
埼玉西武ライオンズ 12勝6敗0分
継投:大沼幸二~野上亮磨~H土肥義弘~岡本篤~工藤公康~○長田秀一郎~Sシコースキー
勝利投手:長田秀一郎 4勝1敗 2.87
セーブ:シコースキー 1勝2敗27S 1.37
ホームラン:平尾博嗣(3号2ラン)
【ハイライト】
【ヒーローインタビュー】
【勝利監督インタビュー】
【ゲームレビュー】
この試合先発マウンドに登ったのは、リリーフから配置転換されていた大沼幸二投手だった。初回こそ0点に抑えたものの、投球内容としては決して良くはなかったと言える。低めにきっちりと決まればアウトを取れるのだが、あまりにもボールが浮いてしまうことが多かった。結局2回3失点でノックアウトとなったわけだが、チームとしては首位ホークス相手に3連勝し、一気に奪首と行きたい試合だったために続投という選択肢にはならなかった。もし野上亮磨投手が初回からしっかり肩が温まった状態であったなら、大沼投手は1回のみで降板ということになっていた可能性もあった。
2番手でマウンドに登った野上投手は、先発登板ではなかなか発揮できない集中力を見せてくれた。ボールの切れも良く、特にスライダーは打者の手元まで曲がり始めることがなく、かなり打ちにくそうに見えた。そして細川亨捕手の出すサインに対しても、その意図をよく理解したボールを投げていたと思う。ストレートの使い方、スライダーの使い方、カーブの使い方。三塁側のスタンドから見ていても、痛快と思えるほどバッテリーの呼吸がよく合っていた。野上投手はロングリリーフだとこれだけ素晴らしいピッチングができるのに、なぜ先発だとなかなか力を出し切れないのだろうか?考えられる理由としては、心の繊細さという部分があるだろう。
先発の場合は、次の登板はだいたい一週間前には告げられる。ということは先発登板に向けて、一週間という長いスパンで調整をしていく必要があり、考える時間も自ずと長くなる。野上投手はひょっとしたらこれが苦手なのかもしれない。逆に先発が崩れた時のロングリリーフの場合は、緊急登板になることがほとんどだ。緊急登板であれば投げる前に色々なことを考える時間も余裕もなく、突然肩を作る指示が出されたかと思えば、突然マウンドに送り出されることもある。それも試合の序盤であることがほとんどのため、非常に慌しい。野上投手はしばらくはリリーフとして待機させ、とにかくマウンド経験を積ませる方が良いのかもしれない。
話は変わって、前日の試合でタイムリーエラーを犯している平尾博嗣選手についてだ。この試合の打席は、まさにリベンジという気持ちで挑んでいたのだろう。2三振1本塁打2打点という結果だったが、打席での気合いはスタンドまでしっかり届いていた。いつも明るい性格の平尾選手だが、2打席目にホームランを打ちダイヤモンドを一周した後の顔には鬼気迫るものがあった。渡辺監督とハイタッチをする直前にはスタンドに向けて雄叫びを上げるなど、チームを鼓舞するには十分と言えるだけの気合いをナインに見せ付けた。それがしっかりとチームに伝わったのだろう。
そして平尾選手以上に燃えていたのが中島裕之選手だった。この試合でも勝ち越し打と勝利打点を記録し、主砲として見事な活躍振りだった。試合後のヒーローインタビューには興奮冷めやらぬ状態で姿を現し、ファンに向けて何度も何度もガッツポーズをして見せた。比較的シャイな性格である中島選手にしては珍しいほどの熱しようで、その姿を見ていると中島選手の勝利への執念、優勝への思いがひしひしと伝わってきた。
場面は4-4で迎えた8回裏、栗山選手が2ベースで出塁した直後の無死二塁という状況だった。筆者はバントを予測した。戦術を考えたなら、一死三塁という状況を作れれば内野ゴロでも勝ち越し点を得ることができる。それどころか1点も与えられないというプレッシャーがバッテリーに掛かった状態だ。パスボールやワイルドピッチで1点ということも十分にありうる。しかも次の打者は4番であるホセ・フェルナンデス選手だ。不用意にストレートを投げることもできない。だが中島選手自身もバントをしようと考え打席に入ったこの場面、渡辺監督が中島選手に対し出したサインは「打て」だった。
渡辺監督のこのサインに対し、主砲中島裕之が燃えないはずがない。防御率0点台のファルケンボーグ投手に対し、バットを二握り短く持ち打席に立った。フルカウントまで行った確か8球目だった。途中は3ボールの状況でフォアボールを確信し、バットを置いて一塁に向かおうとするシーンもあった。だがそれでも中島選手の集中力は途切れることなく、いつも以上に短く持ったバットで捕えたボールはライト線を破って行った。三塁ベースの河田コーチの腕はグルグルと回される。栗山選手はその腕に勢いづけられるようにして一気にホームインを果たす。これで5-4とライオンズは勝ち越した。中島選手のこのヒットがチームに火を点け、続くフェルナンデス選手、ブラウン選手も続き7-4とホークスを突き放した。
話は変わり、この試合ではもう1人勝利への執念を見せてくれた選手がいた。片岡易之選手だ。7回裏、二死からショートへの内野安打で出塁したのだが、一つでも先の塁を狙う姿勢が勢い余り、一塁で牽制タッチアウトになってしまった。このアウトに対し片岡選手が怒りを顕にしたのだ。この場面、2回牽制をされて2回目にタッチアウトとなってしまったのだが、実は2回とも片岡選手は逆を突かれていた。連続して逆を突かれたということもあり、タイミング的には際どかったが審判もアウトと判断したのだろう。だが片岡選手の怒りは一向に収まることなく、清家コーチの制止も振り切り審判に詰め寄ろうとした。最後にはフェルナンデス選手が片岡選手を引きずり出すようにしセカンドのポジションまで連れて行き事なきは得たが、その後も8回表が始まるギリギリまでグラブを地面に置いたまま天を仰ぎ、何とか怒りを鎮めようと努めていた。するとレフトスタンドからは片岡選手を励ますかのような温かい「片岡コール」が響く。まさにナインとファンとが一体化した瞬間だった。
試合後、中島選手は「チームが1つになろうとしている」というコメントを残し、勝利への手応えを明言した。勢いだけで優勝することは非常に難しいが、この試合のように執念を前面に出した泥臭い野球が今後もできるようになれば、ライオンズは必ずペナントを奪回することができるだろう。泣いても笑ってもあと39試合しか残されていない。秋笑うために、ファンも選手同様に勝利への執念を燃やし、熱い応援を続けて行かなければならない!


2010年08月09日 21:14 Tweet


