
2010/08/05 オリックスvs西武 15回戦(野上)

| 3:12 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| 埼玉西武 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 9 | 0 | |
| オリックス | 0 | 1 | 3 | 1 | 2 | 0 | 2 | 0 | × | 9 | 15 | 1 |
オリックスvs埼玉西武15回戦(京セラドーム:18,147人)
埼玉西武ライオンズ 8勝7敗0分
継投:●野上亮磨~藤田太陽~小野寺力~土肥義弘
敗戦投手:野上亮磨 1勝2敗 5.20
【ハイライト】
【ゲームレビュー】
前半戦は獅子奮迅の活躍でチームを牽引した藤田太陽投手だったが、日本ハムの高橋選手の頭部に死球を当てて以来、どんどん調子を落としてしまっている。優しい性格の藤田投手ということもあり、やはり頭に当ててしまったということが未だに脳裏から切り離すことができないのだろう。ボールを見ていてもどこか中途半端で、攻め切れていない。だが前半戦の活躍を思い出せば、これくらいの不調で責められるべく投手ではない。
実は昨日の試合の映像を見直したのだが、藤田投手がホームランを打たれた場面の配球、あれは絶対に選択肢に入れてはならないボールだった。あれは藤田投手が打たれたホームランではなく、上本捕手が打たせたホームランだと言えなくもない。上本捕手は藤田投手の同僚であり女房役であるのだから、当然藤田投手の状態はよく分かっているはずだ。それなのにバルディリス選手の初球に要求したボールはインコースのストレートだった。
上本捕手は2つのセオリーを犯してしまっている。まずは1つ目は基本中の基本である、外国人選手へのインコースへのケアだ。ボール2つ分インコースに外れるボールであれば問題はない。しかしボール1つ分程度しか外れていないボールや、ましてやストライクゾーンに入ったインコースは、外国人選手にとっては完全にホームランボールとなる。上本捕手としては裏をかいたつもりなのだろうが、この攻め方は少々配慮が足りな過ぎる。外国人選手への基本はアウトロウだ。外角低めのボールを如何にして打たせるかが勝負の鍵となる。初球、ツーシーム(シュート)をインコースに投げてファールを打たす、もしくはボールになっても内側を意識させるためなら良いと思う。しかし裏をかく程度の浅い考えで投げてはいけないのが、インコースへのストレートだ。
さて、2つ目のセオリーとなるが、藤田投手は高橋選手の頭部に死球を当てて以来調子を崩している。つまりインコースを攻め切れていないということだ。インコースを攻め切れていない投手に対し、初球のストレートをインコースに要求するということは、女房役としての配慮も足りな過ぎる。上本捕手は、藤田投手がインコースを投げにくくしている姿は何度も見ているはずだ。それならば死球の恐れのない外側中心で配球を考えてあげるのが、女房としての思い遣りではないだろうか。プロ野球選手と言えど、所詮はただの人だ。一流のピッチャーだったとしても、弱気になってしまうことはある。そこを上手く引っ張っていくのが、本来女房役と呼ばれるキャッチャーの勤めである。
結果として、上本捕手はインコースにストレートを要求し、藤田投手は死球を嫌いインコースに投げ切れなかった。それどころかど真ん中に近いところに行ってしまい、痛恨のホームランを浴びてしまった。昨日の話ばかりで申し訳ないが、今夜打たれたホームランは、昨日の続きだと言っていいだろう。ここまで書いてきたことは、藤田投手自身が一番思っているところだ。藤田投手にしてみれば「インコースに投げられなかった自分が悪い」と考えているだろう。だからこそ今夜はリベンジのマウンドとなったのだが、無理をして強気のピッチングに出たために、やはり一発を浴びてしまった。チェンジアップだったろうか、変化球がインコースの甘いところへ行ってしまった。
状態を崩してしまったピッチャーは、どのようにして復調していけば良いのだろうか。答えは簡単だ。外角低目を徹底すればいい。春季キャンプや秋季キャンプで、ピッチャーがもっとも時間を割くのが外角低めへのコントロールだ。100球投げたなら、そのうちの70球は外角低めを狙っていると言っても過言ではない。ピッチャーはそれくらい外角低めを大切にし、基本としているのだ。ということは藤田投手もやはり、まずは基本に立ち返るべきだろう。無理をしてインコースを攻める必要はない。藤田投手の球威があれば、しっかりと外角低めにコントロールできれば、そう簡単には打たれない。まずは外角低めで「抑えた」という自信を持ち直し、死球の残像が完全に消えてからインコースを使い出せば良いと思う。それまではインコースを使うにしても、膝下辺りのボールゾーンに投げておけばいい。変化球であればバッターはほぼ確実に避けてくれるはずだし、当たったとしても大怪我はしないだろう。
インコースのボールは、きっちりと決まれば抑えられる可能性は高い。だがその可能性よりも高いのが、コントロールミスだ。特に頭部に死球を当てたという要素を持つ藤田投手にとっては、インコースにはある種の恐怖心すらあるはずだ。だからその恐怖心がなくなるまでは、無理をしてインコースに投げる必要はない。藤田投手のように優しい性格のピッチャーは特に、荒治療などは必要なく、まずはキャッチャーが外側で抑えられる配球を考えてあげることだ。リードとは、決してキャッチャー本位で考えてはいけない。実際に投げるのはピッチャーなのだから、常にピッチャーの状態を考えてリードをしてあげる必要がある。特に現代野球の投手はキャッチャーのサインに首を振ることが少なくなっている。大事な場面では首を振る勇気も必要だが、しかしそれ以上に必要なのは女房役の優しき配慮ではないだろうか。


2010年08月05日 21:39 Tweet


