
2010/08/04 オリックスvs西武 14回戦(平野)

今夜の試合は工藤公康投手が帰りのバスに乗り込む際に言い残した「あぁクソ!」という言葉に集約される一戦となってしまった。先制点を取った直後に逆転を許すという、悪い流れの中で始まったこの試合、再逆転をするとリリーフ陣が何とか持ち堪え、延長11回までもつれ込む激戦となった。だが結果的に藤田太陽投手がバルディリス選手に同点2ランを許し、11回は工藤投手が4連打を浴びサヨナラ負けとなってしまった。
先発をしたのは平野将光投手だった。今季は大きな成長の跡が見て取れる若手先発陣の有望株だ。だがその平野投手も味方が2点を先制してくれた直後の2回裏、ホームランを含む4安打を浴び、3-2と逆転を許してしまった。点を取った直後の失点は、試合の流れを相手に傾けてしまう大きなファクターの1つだ。もしこの回をソロホームランの1点のみで終わらせていれば、ここまでゲームは長引かなかっただろう。別の視点で見るならば、平野投手がこういう場面を最少失点で切り抜けられる投球術を覚えていけば、これはローテーションピッチャーとしての活躍が大いに期待できるだろう。
さて、打つ方では片岡易之選手が元気だ。オールスター前後から一気に調子を上げ、今夜も6打数5安打2得点と大暴れし、打率も.301まで伸ばして来た。この好調の一因には、2番に2番らしいバッターが座っているという点が挙げられるだろう。片岡選手は性格的にもプレー的にも積極的な選手だ。良いボールが来れば初球からどんどん振っていく。だが栗山選手というやはり積極的なバッターが2番に入っていると、その積極性がベストの状態で発揮されなくなってしまう。片岡選手が栗山選手に対し「本当は積極的なバッターなのに、盗塁時とか気を遣わせてスマン!」という意識が少なからずあったのだろう。
栗山選手はしばらく2番を打ち続けているが、決して2番打者タイプではない。元来積極的なバッターで、タイプ的にはリードオフマンとしての1番や、ポイントゲッターとしての5番などが合っているように思う。栗山選手自身以前は1番という打順に強いこだわりを見せていたし、今ではクリーンアップを打つという目標も持っている。現在は3番を任されているが、これは実力で奪ったわけではなく、中村剛也選手の故障により回ってきた役どころであるため、本人からすれば自分自身に納得をしての3番ではないはずだ。
その栗山選手が2番から3番に入り、2番には2番らしいタイプの打者が入ることで、片岡選手の中から不要な気遣いが消えたように筆者には感じられる。今夜であれば2番には原拓也選手が入った。原選手は細かいプレーをそつなくこなせるタイプで、片岡選手の盗塁を助けることもプレー内に於いて決して厭わないタイプだ。もちろん栗山選手もそれは厭わないが、しかし栗山選手の本来のプレースタイルを思い出すならば、片岡選手の盗塁を待ってから打たせるのではやはり栗山選手の持ち味を薄くしてしまう。
選手の格から言えば、当然原選手よりも栗山選手の方が今はまだずっと上だ。片岡選手からすれば、日本一になった2008年には最多安打のタイトルを分け合ったのが栗山選手で、そのバッティング技術は最もよく知るところだ。それを知るだけに、自らの盗塁のために栗山選手のストライクを1つもらってしまうことに、まったく遠慮がなかったと言えばウソになるだろう。だがそれもバッティングでは栗山選手よりも劣る原選手や阿部選手(2軍調整中)が2番に入っていれば、2人には悪いが栗山選手が2番に入っている時よりは、片岡選手も多少は楽な気分でプレーできるはずだ。
一気に調子を上げてきた片岡選手だが、打撃を変えて調子を上げたわけではないと筆者は見ている。中村選手が故障し、栗山選手が本来の力を発揮できる場所に配置転換されたことで、片岡選手の調子は上がって行ったのだと筆者は考えている。打撃は、ほんの僅かなことが切っ掛けで上がったり下がったりする。ヒットが出ないことでも崩れるし、ホームランを打つことでも崩れる。スランプに関しても、調子が良い時と然程の違いがなかったとしても、肉眼では確認できないほどの小さな違いでヒットが出なくなってしまう。
もし中村選手が怪我をせず、栗山選手が2番に座ったままであれば、ひょっとしたら片岡選手の調子がここまで一気に上がったということはなかったかもしれない。いや、もちろん調子を上げる可能性もあっただろうが、それは上がり切らない可能性と比べると五分五分だっただろう。片岡選手のこの好調さを見ていくと、中村選手の怪我も光明だったと言えるのかも知れない。
話は変わるが、11回の工藤投手の投入は決して間違いではなかったと思う。前日はしっかりとリリーフの役目を果たしていたし、現にブルペンでも調子が良かったと言う。では何がいけなかったのか?なぜたった7球で4安打されてしまったのか?この場面で筆者が取って欲しかった作戦は、投手交代と同時に捕手も細川捕手に代えることだった。7球で4安打されたということは、ボールの入り方がベストではなかったということがまず言える。延長に入れば後攻めの方が俄然有利になるし、オリックスの今の勢いを見れば慎重を期すべきだ。しかもオリックス打線は藤田投手やシコースキー投手という、並み居る速球派投手のボールを見た後での工藤投手との対戦となる。2投手のボールと比べれば、工藤投手の球速はまさに打ちごろに見えたはずだ。
遅いボールを早く見せる技術に関しては、細川捕手は球界随一のリード力を誇る。もしライオンズが万全に万全を重ねたならば、ここはやはり上本捕手よりも細川捕手に代えるべきではなかっただろうか。カウント球を4人のバッター全員にヒットされたということは、やはりこれはリードに隙があったと言える。恐らく12回表に上本捕手に打順が回ることを考えてのことだったとは思うが、しかし野球において最も大切なことは、点を取ることよりも取られないことだ。特に延長戦ともなれば。上本捕手の実力を認めていないわけではないが、しかし万全という言葉を選ぶのであれば、筆者は細川捕手に代えるのがベストだったと試合を観ながら考えていた。
しかし上本捕手も今夜のような痛みを繰り返し経験していけば、捕手としてもっともっと成長できるはずだ。何よりも身近に細川亨という素晴らしい捕手がいるのだから、学べるところは非常に多い。上本捕手には今夜の失敗を糧に、明日以降さらに良い捕手へと成長して行って欲しいと思う。そして上本捕手がもっともっと成長していけば、細川捕手にしろ、銀仁朗捕手にしろ、もっともっと努力をしていくはずだ。そうなればライオンズの捕手陣はまさに鉄壁となる。筆者はいつかそうなることを期待し、明日もまた動画観戦したいと思う。


2010年08月05日 01:59 Tweet


