
2010/07/31 日本ハムvs西武 16回戦(涌井)

まさかの展開だった。まさかエースの涌井投手を先発に立てて、このようなゲーム展開になろうとは一体誰が予想していただろうか。岸投手、石井一久投手が離脱し、帆足投手も調子を落とし、西口投手は2軍でも打ち込まれてしまっている現状、ローテーション投手で勝ちを計算できるのは涌井投手しかいない。これでは涌井投手のみにプレッシャーが集中してしまい、1試合投げたあとの疲労度も尋常ではないだろう。
そのプレッシャーの中でマウンドに立ち、6回途中までで12被安打8自責点という惨憺たる内容。そして奪った三振は驚くことに0だった。地方球場のマウンドという地の不利はあったものの、高校時代もエースで鳴らした涌井投手にとって地方球場は未知ではない。そう考えると、心身ともに疲れがピークに差し掛かっていると考えて間違いないだろう。いくら球界トップクラスの実力を誇る涌井投手と言えど、チームの期待を一身に背負えるほど肩は広くはない。
昨年はクローサーの故障に泣いたライオンズだったが、今季は先発投手の故障に泣いている。岸投手の離脱はチームのトレーナーからすればある程度予測できた事態だったとは思うが(開幕の段階で少なからず炎症は起っていた)、まさか同時に石井一久投手をも怪我で欠くとは予測できなかっただろう。そして開幕は好調を維持していた帆足投手も、ここしばらくはまったくらしくないピッチングを続けてしまっている。さらに5番手・6番手の投手は実績に乏しく、高い確率で勝ちを計算することはできない。
この試合で涌井投手は3被弾している。涌井投手は力を弛めた時に、いわゆる伏兵に一発を浴びるケースがあるのだが、この試合で打たれたホームランはそれとは違っていたように見えた。ボール自体が甘かったということもあるが、ボールに力のある涌井投手がこれほど簡単にホームランを打たれるとは、ちょっと信じがたい光景だった。
さらに言うと、涌井投手の投球フォームは調子が悪くても勝てるフォームだと言える。俗に言う「スモーキー」という投げ方なのだが、右腕がテイクバックに向かう際、完全に体幹に隠れ、バッターの視界から消えてしまう。そして突然ボールが現われたかと思えば、球持ちが非常に長く、バッターからするといつまで経ってもボールがやって来ないように感じるのだ。なぜこれをスモーキーと呼ぶのかと言うと、煙の中から突然ボールが飛んでくるという比喩から由来されている。
この投球フォームを以ってしてもこれだけ打ち込まれてしまったということは、何度も言うようだがやはり心身に溜まった疲労だろう。この疲労がある程度解消されない限りは、調子の波はしばらくは続くと予測できる。ピッチャーの調子が落ちると、決まって「走れ走れ」と言う人がいるが、これは筆者は違うと思う。確かに普段走っていない選手は走るべきだ。しかし涌井投手は人並みに以上に走っているのだから、やはりここは普段のメニューを軽くして、まずは「体」に溜まった疲労だけでも抜いてあげるべきだろう。
ちなみにシーズン中の涌井投手がどれだけ走っているかと言うと、まずは登板翌日には乳酸を抜くために30分ほどのジョギングを行う。登板2日目は完全オフで、3日目は400mを5~6本、4日目はポール間ダッシュをかなり多めに走り、5日目はポールからセンターまでを12本ダッシュ、6日目(登板前日)は50mや20~30mのダッシュを繰り返し走る。そしてもちろんだが、走るだけではなくウェイトトレーニングなどもかなり豊富なメニューで行っている。
例えばこれだけのランメニューを、今週だけ半分にしたところで体の状態はそれほど変わることはない。それならば勇気を持って体を休ませることも必要だろう。涌井投手は半端な練習しか行わない二流の選手ではない。人一倍練習をする一流投手だ。だからこそ心身にかかるプレッシャーも半端ではなく、常に勝利を期待された中での登板となる。勝ちを確信された中で登るマウンドは、1球に対する疲労感がかなり違うものだ。勝負の8月を乗り切るためにも、やはり涌井投手の調子の安定は欠かせない。
今月の涌井投手は恐らく4試合に先発し、その内3試合が西武ドーム、1試合が札幌ドームだと予想される。地の利としては悪くないだけに、西武ドームで投げられている時にしっかり疲れを癒してもらいたいと思う。そしてチームを、ファンを、2年振りの日本一に導いてもらいたい!


2010年08月04日 00:17 Tweet


