2010/08/27 西武vs楽天 16回戦(平野)
【ゲームレビュー】今夜の敗戦でライオンズは7連敗となった。つい先日は8連勝に嬉々としていた西武ファンだったが、今や先の見えぬ悪夢にうなされている。8連勝で作った貯金はあと1つだけ。8勝連をした意味がほぼ0になってしまった。6連敗した夜、渡辺監督は「勝負根性が足りない。伝わってくるものがない」と語り、選手会長の中島裕之選手は「ズルズル行かんようにしないとね」とコメントした。この2つのコメントを聞き、筆者はガッカリしてしまった。
まず中島選手のコメントだが、これは3連敗までなら使える言葉だ。6連敗ではとっくにズルズル行ってしまっている。中島選手のこの言葉からは、勝利への執念がほとんど感じられなかった。もちろん執念は持っているのだと思う。だがそれがコメントからは伝わってこない。そして渡辺監督のコメントにしても、勝負根性が足りない、伝わってこないというのは、感想でしかない。敗戦の感想を述べるだけであれば、それは監督の役目ではない。監督であれば、チームの雰囲気をガラッと変えられるだけの大胆な作戦を練るなどの対処が必要だ。ナインの1つ1つのプレーを見ていても、どこか地に足が着いていない。誰でもいい。誰か1人でもいいから「明日は絶対に勝つ!」とファンに向けて言って欲しい。
さて、渡辺監督はナインに対し「勝負根性がない」と言ったが、その原因は一体どこにあるのだろうか?筆者が思うに、その原因は1つかない。それは渡辺監督の寛容力だ。この寛容力が災いし、ライオンズはさらに上の高みに行けずにいる。渡辺監督を尊敬する筆者ではあるが、「叱らないから選手は育つ」という渡辺監督の方針には共感することはできない。監督であれば、コーチであれば、選手を愛情を持って叱ってあげるのも仕事の1つではないだろうか。「勝負根性がない」と怒っているだけでは何の解決にもならない。大切なのはなぜそう思うのかという根拠を以ってして、根性のない選手をしっかりと叱ってあげることだ。選手は叱られることで、叩かれることで成長していく。
「選手が気持ちよくプレーできるようにしてあげるのが仕事」と平然と口にするコーチの話をよく耳にする。筆者に言わせれば、そんなことを言っている時点でコーチ失格だ。コーチの仕事は選手を教育し、勝てるチームを作ることなのだ。2008年、当時の黒江ヘッドコーチが選手を叱ろうとした瞬間、渡辺監督が割って入りそれをやめさせた。選手は叱らず、伸び伸びとやらせることで成長する、というのが渡辺監督の方針だったからだ。だがこの指導方針こそが、勝負根性のないチームを作り上げてしまった。
ライオンズの選手たちは基本的には叱られることなく、伸び伸びとした野球を続けて来た。つまり打たれ弱いのだ。勝てる時は調子の良さで連勝をすることもできるのだが、一度負け始めると打たれ弱いが故に歯止めが利かなくなってしまう。まさにこれが今のチーム状況だ。一度叩かれると、その悔しさをバネに跳ね上がることができない。叩かれた痛手を忘れるまで自らのプレーを見失ってしまう。だが忘れてしまえばケロッとしたものだ。何事もなかったかのように日々プレーを続けてしまう。
もちろんライオンズの全選手が打たれ弱いのではない。だが1軍で試合に出ている選手の中に、僅か数名でも弱い選手が混じってしまうと、負の連鎖は瞬く間にチーム全体に広がっていってしまう。そして今回の負の連鎖は、渡辺監督の采配から始まった。エース涌井秀章投手を、相手チームのエースと対戦しないような消極的なローテーションに組み替えたことが発端だった。
もちろん渡辺監督の頭の中には、涌井投手に最多勝を獲らせてあげたいという親心もあったのだろう。しかし相手チームのエースに打ち勝つことなく獲る最多勝に、一体どれだけの価値があるのだろうか。涌井投手自身も、そんな形で最多勝を獲っても嬉しくはないはずだ。
消極的な采配から始まったこの連敗を切り抜けるためには、やはり積極的な采配をするしか方法はないだろう。明日は工藤・野上・ブラウンの3選手に代わり、藤田・グラマン・坂田の3選手が1軍昇格する見込みとなっている。なんとかこの3選手がカンフル剤になり、死に物狂いで連敗を止めて欲しい!万が一8連敗なんてことになれば、チームが浮上する切っ掛けすら失ってしまう危険性もある。そうなった時恐いのは、2年連続でのBクラスだ。常勝チームを自負するチームにとり、これほどまでに屈辱的なことはない。決してそうならないためにも、明日はエース涌井秀章投手でなんとか連敗を止めてもらおう!!
2010年08月27日 23:32
2010/08/26 ロッテvs西武 21回戦(西口)
| 3:03 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| 埼玉西武 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 5 | 0 | |
| 千葉ロッテ | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | × | 2 | 7 | 1 |
千葉ロッテvs埼玉西武21回戦(千葉マリン:29,154人)
埼玉西武ライオンズ 8勝13敗0分
継投:西口文也~H岡本篤志~H土肥義弘~●長田秀一郎
敗戦投手:長田秀一郎 4勝2敗 2.92
盗塁:片岡易之(51、52)
【ハイライト】
【ゲームレビュー】
先発した西口文也投手はこの試合での好投により、本格的に復活を果たしたと言っても良いだろう。1試合の好投だけでは、渡辺監督の言葉を借りれば「フロック(まぐれ)」ということになる。しかし2試合連続まぐれで好投できるほど、プロ野球は甘くはない。これで西口投手は完全復活と言って間違いないだろう。この試合のようなピッチングさえ続けていければ、勝っても負けてもしっかりと先発としての責任を果たすことができるはずだ。
今、西口投手にあってチームにないもの。それは勝利への強い執念だ。前回・今回と西口投手のピッチングを見ていると、テレビの画面からもヒシヒシと勝利への執念が伝わってくる。まず言えるのは、勝てない時と比べると配球をキャッチャー任せにしなくなった。この試合に関しても、西口投手は数え切れないほど上本捕手に対して首を振った。これは自分のボールに自信が蘇っている証拠でもあるだろう。ここぞと言う時に自分が一番投げたいボールを投げられる自信、その自信が今の西口投手の好投を支えている。
躍動感からすると、全盛期の西口投手と比べると当然だが今の方が劣る。だがその分一所懸命に投げている。もし今期中の復調がなければ、引退も考えなければならない背水状態だっただけに、悲壮なる思いで2軍調整を行ったのだろう。2軍での西口投手は、南谷和樹コンディショニングコーチ(理学療法士)に付き、身体を一から作り直したようだ。南谷コーチと言えば2008年までは楽天イーグルスのチーフトレーナーだった。それが2008年、野手に怪我人が続出したということもありライオンズに招聘された。さらにはアトランタ・ブレーブスの斎藤隆投手にコンディショニングの重要性を指導した人物としても知られている。
そんな南谷コーチと共にウェイトトレーニングなど、身体を基礎から見直した西口投手。それまでの西口投手は、ウェイトトレーニングはほとんど行わない選手だった。一時期軽く取り入れた時期はあったようだが、本格的なウェイトトレーニングと言えば、今回が初めてだったのではないだろうか。
ウェイトトレーニングと聞くと、筋肉を大きくしてパワーを付けるというイメージを持ちがちだが、しかしそうではない。G.G.佐藤選手の場合はそうだ。数十キロという重さのウェイトを持ち上げ、身体を大きくすることで飛距離を伸ばそうとしている。だが投手の場合は違う。たまに5~8kg程度の重さを使うことはあるが、しかし大半はもっと軽い。1kgであったり、500gであったりする。重くてもせいぜい4kgくらいだ。投手の場合、筋肉を太くしても球速はほとんど上がらない。大切なのは筋肉の量ではなく質なのだ。筋肉の質が良ければボールに切れが出るし、悪ければ切れは出ない。これがつまり、コンディショニングの良し悪しということになる。
こうして考えて行くと、西口投手の不調の要因はひとえにコンディショニングにあったと言うことができるだろう。もしもっと早くにコンディショニングの重要性に気付いていれば、ひょっとしたらもうとっくに200勝を達成できていたかもしれない。だが遠回りをしたとは言え、こうして復活してくれたことに変わりはない。西口投手はまだ37歳だ。これからの1試合ずつも同じような気迫で投げてくれれば、200勝という数字にも必ず手は届くはずだ。
そして西口投手が復活したことには、もう1つ大きな意義がある。今年の前半まではまったく勝てなかった西口投手が、2試合連続でここまで素晴らしい投球をしたことで、若手投手も改めてコンディショニングの重要性を知ることができたはずだ。技術は良いコンディションの下でしか活かしようはない。西口投手自身がそれを実感したことも、数年後に指導者になった際の大きな財産となるはずだ。
南谷コーチは楽天時代、ブログでこんなことを語っていた。「プロ野球選手が野球教室やメディアを通して世の中(特に子ども達、指導者達)へ正しいコンディショニングを教えることで、少しでも多くのスポーツ傷害を減らすことが出来るのでは」と。今回の西口投手の復活劇は、まさに南谷コーチの目標への大きな前進だったと思う。
ライオンズは現在多くの怪我人を抱えている。今後その怪我人を1人でも多く減らすことができれば、チーム内の競争はさらに烈しさを増し、チーム全体のレベルの底上げにも繋がる。チームの底辺が底上げされれば、当然レギュラー組のレベルも上がる。そうすれば選手層はさらに厚くなり、強いチームの礎ができる。ライオンズは近年怪我人が非常に多い。西口投手は怪我ではなかったわけだが、しかし今回の復活劇を大きな糧とし、2軍調整中の選手は早く1軍選手を脅かす存在になって欲しい。そして6連敗中と不甲斐ない戦いを続けている1軍に活力を与えて欲しいと切に願う。
2010年08月27日 10:53
2010/08/25 ロッテvs西武 20回戦(石井)
| 3:21 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| 埼玉西武 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | 9 | 1 | |
| 千葉ロッテ | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | × | 3 | 8 | 0 |
千葉ロッテvs埼玉西武20回戦(千葉マリン:22,366人)
埼玉西武ライオンズ 8勝12敗0分
継投:石井一久~長田秀一郎~●工藤公康~岡本篤志
敗戦投手:工藤公康 2敗 10.50
【ハイライト】
【ゲームレビュー】
5連敗。ここまでツキに見放されてしまうと、もう手段は盛り塩しかないのだろうか。しかしそんな非現実的な解決方法に試合を委ねてはいけない。選手、そしてベンチはこの敗戦を、勝利への執念がロッテよりも弱かったと反省すべきだろう。先発した石井一久投手は苦しみながらも、7回途中まで2失点に抑える粘り強い投球を披露してくれた。ベテランらしく、しっかりとゲームメイクをしてくれた。しかしその粘投に打線が応えられなかった。
冒頭でツキという言葉を使ったが、ツキに見放されていると強く感じた場面が2つあった。まず1つ目は6回表の攻撃、中島裕之選手の打席だ。渡辺俊介投手の遅球に若干泳ぎながらも、初球の外角球をレフトに運んでいった。打球はフェンスまで到達し、普通に考えれば2ベースコースだった。しかしクッションボールはレフト大松選手の元にきれいに跳ね返り、中島選手は1塁でストップせざるを得なかった。打球がフェンスまで到達しても2塁に進めない。ツキがなかったと言うしかないだろう。
2つ目は7回裏のロッテ今江選手の打席だ。この場面もやはりツキがなかったのは中島選手だった。場面は1アウトで1塁に西岡選手。石井投手からバトンを譲り受けた長田投手がマウンドに登ったのだが、1-1からの3球目、今江選手を完全に詰まらせたショートゴロに打ち取った。だが打球よりも先に折れたバットが中島選手の方へ飛んで行き、その後からボールが転々と転がって行った。同じ方向から折れたバットとボールが時間差で飛んでくる。結果、どこにも投げられない内野安打。中島選手にとっては不運としか言いようのない1プレーとなってしまった。失点にこそ結びつかなかったが、勝ち運に見放されていることを実感せざるを得ない場面だった。
今のライオンズはとにかく流れが悪い。すべてが裏目に出てしまう。例えば選手起用に関しても多くの場面で後手後手の起用となっており、スマートな交代がほとんど見当たらない。今夜の継投もそうだった。7回、1アウトから西岡選手を出塁させた場面でピッチャーを長田投手にスイッチしたのだが、この場面で代えるのならば、7回頭から長田投手に行かせるべきだった。その理由の1つには石井投手は今夜、西岡選手に2安打されていたという点がある。中途半端に続投させ、西岡選手に猛打賞を献上する理由はない。しかも今季20回目となった西岡選手の猛打賞は、ロッテ史上60年振り、別当薫さん以来のシーズン球団最多記録だそうだ。
石井投手の球数は6回を投げた終えた時点で98球。怪我上がり2試合目の石井投手にとっては、十分代える理由になる得る数字だったと思う。だがベンチの判断は続投。この流れの悪さの直後に、前述した中島選手へ折れたバットが飛ぶ場面が繋がることになる。
選手にも言えることだが、渡辺監督を始めとした首脳陣は、もっと自信を持って采配を振るわなければならない。そうしなければ選手が不安になるばかりだ。もちろん采配とはそれほど単純なものではない。しかし首脳陣の采配に迷いが感じられれば、当然選手も迷った状態でグラウンドに立たなければならない。首脳陣としては、そういう状況だけは絶対に避けるべきだ。
当たり前のことではあるが、ベンチやブルペンスタートの選手たちは、いつどんな状況で呼び出しがかかっても良いように準備をしなければいけない。しかし首脳陣の起用と、選手のモチベーションが噛み合った状態での起用にならなければ、選手はベストパフォーマンスを発揮することはできない。例えば今夜の長田投手で言えば、長田投手自信は7回頭から投げるつもりで準備していた、という可能性もあっただろう。もし7回頭から長田投手を起用し、三者凡退に抑えていたなら、8回表の攻撃は2点では済んでいなかったはずだ。このような後手後手の采配が、試合時間を無闇に延ばしていると言うこともできなくはない。
野球というのは本当に不思議なスポーツだ。流れが良い時は面白いように勝てるし、一転その流れが悪くなるとまるで勝てなくなってしまう。だが渡辺監督は昨年から大型連敗は何度も経験している。そろそろその経験を活かし、大型連敗をしない采配を振るわなければならない時期にあると筆者は強く感じている。例えば死に物狂いになってでも勝つ采配を振るうのであれば4回表、先頭の栗山選手が2ベースで出塁した直後の中島選手に、送りバントを命じても良かったと思う。そうすれば次の中村選手のレフトフライで1点入っていた可能性が高い。
もちろん野球に「たら、れば」はない。だがこうして結果論を見ていくと、ライオンズはまだまだ完成には程遠いチームだ。それならばこういう状況であれば、もっと泥臭い野球をして、這ってでもホームインしようという気概も必要だと思う。ペナントレース、本当に苦しくなるのはこれからだ。こんな時期に大型連敗を喫しているようでは、ライオンズは今季も優勝を逃してしまうだろう。そうならないためにも、明日は何としてでも勝ちに行く野球、勝ちに行く姿勢を見せてもらいたいと思う!
2010年08月25日 21:51
2010/08/24 ロッテvs西武 19回戦(許)
| 3:32 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| 埼玉西武 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 10 | 0 | |
| 千葉ロッテ | 1 | 0 | 0 | 0 | 5 | 2 | 0 | 1 | × | 9 | 14 | 0 |
千葉ロッテvs埼玉西武19回戦(千葉マリン:21,291人)
埼玉西武ライオンズ 8勝11敗0分
継投:●許銘傑~野上亮磨~岩尾利弘
敗戦投手:許銘傑 6勝9敗 4.50
盗塁: 片岡易之(50)3年連続50盗塁!
【ハイライト】
【ゲームレビュー】
この時期の4連敗はあまりにも痛過ぎる。これでは8月上旬から記録した8連勝もまるで意味を生さない。一度勝利の女神にそっぽを向かれてしまうだけで、ここまで勝てなくなってしまうものなのだろうか。千葉マリンスタジアムに足を運んだファンにとっては、疲労感の強い一戦になってしまったに違いない。
この試合の最大のポイントは5回だった。2アウト満塁から福浦選手が、フェルナンデス選手のミットを弾く強襲ヒットを打った直後のサブロー選手との対戦。この場面がこの試合のすべてを決したと言ってもいいだろう。バッテリーの呼吸があまりにも乱れていた。上本捕手が許投手をサポートし切れていなかった。
2アウト3塁1塁という場面、許投手が投じた初球は外角低目へのスライダーだった。だが内角にミットを寄せていた上本捕手は、その投球に飛びつくものの止めることができなかった。これは明らかにサインミスだった。許投手が間違えたのか、上本捕手が間違えたのかは定かではないが、このワイルドピッチ後の上本捕手の表情を見る限りでは、許投手のミスだった可能性が高い。
ワイルドピッチにより3塁ランナーをホームインさせてしまった。上本捕手はマウンドに詰め寄る。なにやら強い口調で許投手に話しかけていた。その表情は完全にイラついている。何を言ったかまではテレビ画面からは分からなかったが、しかし表情だけで判断するならば、サインミスを犯した許投手にクレームを付けていると言った雰囲気だった。まぁ、ここまでは仕方ないと思う。1点を争う大事な場面だ。こんな場面でミスを犯す方が悪い。しかしこの後の上本捕手の対応も悪かった。
許投手に対しイラついた表情を見せるも、当の許投手は上本捕手に背を向けたまま。恐らく上本捕手の言葉は歓声にも消されてしまい、ほとんど耳には入っていなかったはずだ。それなのに上本捕手はそのままキャッチャーズボックスに戻ってしまった。ありえない対応である。サインミスが起こったというのに、サインの再確認をせずに戻ってしまったのだ。これは常に冷静さが求められるグラウンドの司令官、キャッチャーというポジションとしては失格と言えるほどの対応だ。大事な場面でサインミスを犯す方も悪ければ、それをしっかり再確認しないキャッチャーも悪い。バッテリーの息は完全にちぐはぐな状態だった。
そんな状態のまま投じた2球目は、今度は外角低めに構えた上本捕手のミットよりも真ん中寄りにスライダーが入ってしまった。甘いボールだ。サブロー選手が軽くバットを振り抜くと、打球はレフトスタンドに吸い込まれてしまった。一気に5点を奪われるビッグイニング。これで勝負はほとんど決してしまった。
5回を投げ終わった許投手はダグアウトに戻ると、珍しく感情を露わにした。ベンチに帽子を叩きつける許投手の姿など、なかなか見られるものではない。あれだけ悔しがるということは、よほど悔いが残ったのだろう。それがサインミスに対してなのか、打たれたことに対してなのか、キャッチャーと息を合わせられなかったことなのか、それは許投手本人にしか分からない。しかし筆者が推測するに、そのすべてだったように思う。
この場面、筆者にはもう一点不満なことがあった。それはサインミスがあった直後、西武内野陣が誰一人許投手の元へ行って声をかけなかったことだ。どう見ても許投手は冷静ではなかった。それに加え女房役との不仲である。ここはワイルドピッチをした直後に誰か一人でもマウンドに行って、許投手に間を置かせるべきだったと筆者は考えている。そうすれば2球目を軽々とホームランされることもなかっただろう。この辺りが、ライオンズが強くなり切れない要因の1つだと言うこともできる。
これでチームは4連敗となった。2位ホークスとの差は0.5ゲーム。3位ロッテとも2ゲームの差しかない。明日・明後日は石井一久投手と西口文也投手が先発予定だ。この悪い流れを大ベテラン2人の力でなんとか食い止めてもらいたい。そしてチームを立て直した状態で、金曜日に投げるであろう涌井秀章投手にバトンタッチしてもらいたいと思う。
2010年08月24日 21:51
2010/08/22 日本ハムvs西武 20回戦(帆足)
| 2:25 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| 埼玉西武 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 5 | 0 | |
| 北海道日本ハム | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | × | 4 | 8 | 0 |
北海道日本ハムvs埼玉西武20回戦(札幌ドーム:34,781人)
埼玉西武ライオンズ 8勝12敗0分
継投:●帆足和幸~小野寺力~土肥義弘
敗戦投手:帆足和幸 10勝8敗 3.58
【ゲームレビュー】
やはりこれを流れだと言うべきだろうか。勝利の女神にそっぽを向かれたライオンズは、4位ファイターズ相手にまさかのスウィープを喫してしまった。大型連勝をした直後に連敗をしてしまうのは、まるで昨年のライオンズ同様だ。とても首位チームがすべき野球だとは言えない。
今日先発をしたのは一時の不調からは立ち直った感のある帆足投手だった。だが初回にいきなりの4失点。出鼻をくじかれてしまった。とは言え、ボールは決して悪くはなかった。変化球も切れていたし、ナチュラルスライダーがかかるストレートも走っていた。ではなぜ初回から4点を失ってしまったのだろうか。これは筆者に言わせるならば、出会い頭の交通事故のようなものだ。
帆足-細川のバッテリーからすると、早い段階で内角をしっかり突いておいて、最後は外角低めで勝負するための布石を打っていた。だが初回に関しては、ファイターズ打線は内角だけに狙いを絞っていた。初回の5連打はほとんどが内角を突いたもので、1球だけは内角を突き切れず、真ん中寄りに入ってしまったボールだった。いくらボールに切れがあるとは言え、内角だけに狙いを絞った打線相手に内角を続けては、5安打も不思議はなかった。これに関しては、帆足投手を苦手とするファイターズ打線の徹底した作戦勝ちと言うべきだろう。普通に考えれば、初回からここまで徹底して内角に絞ることはまず有り得ない。大村巌打撃コーチの勇気ある戦術は見事だった。
それが分かった後の帆足-細川バッテリーは、2回以降はほぼ完璧にファイターズ打線を抑えた。6回に糸井選手に2ベースを打たれるまでは、2~5回はボテボテのサードへの内野安打1本しか打たれていない。つまりこれは、帆足投手の調子が良かったという裏づけになる。立ち上がりも悪かったわけではなく、寧ろピッチングとしては非常に良かった。だからこそ5連打された時も、帆足投手はマウンド上で怒りにも似た表情を浮かべていた。実はこの試合の前、大村コーチはBaseball Times Weeklyに対し次のようなコメントを残したいた。「やっかいですね。ちょっと特殊な球、パームの握りでスライダーを投げてくる。でも秘策はあります。その価値? 5千億円くらい(笑)」。この5千億円の秘策が、初回の4点を生み出した。
さて、最後は気分転換としてホセ・フェルナンデス選手について少し書いておこうと思う。ここ最近のフェルナンデス選手は、哲学的コメントを好んで残している。今日も犠牲フライを打った後に「美しき野球は明日に繋がる」という言葉を残した。実はこの「美しい野球」とは、野球指導者でもある筆者が最たるテーマとしていることでもある。美しい野球を非常に分かりやすい言葉で説明をすれば「スモールボール」ということになる。日本ではWBCなどで「スモールベースボール」と言われていたものだ。
野球というスポーツは、連打を生み出すことは非常に難しい。だからこそ送りバントや進塁打を打って、一度連続ヒットをリセットすることで、次の打者に期待をかけるのだ。そしてこれを突き詰めていくと、ノーヒットで点が取れる野球ということになる。例えば筆者が考える理想は初回の攻撃で、まず1番がフォアボールで出塁する。そして2番の協力を得て盗塁。すかさず送りバントで1アウト3塁。続く3番はセカンドベース寄りのセカンドゴロを打ち、その間にランナーがホームイン。
トーナメントの多いアマチュア野球ではよく見られる戦術でもある。技術のレベルは当然アマはプロには叶わないが、野球の美しさと言えばプロよりもアマの方が優れている。野球とサッカーを比べれば、それは戦術であるかフィジカルであるかに大きな違いがある。野球は間があるため、より戦術が重要視される。一方のサッカーは戦術ももちろん大切だが、それよりは90分動き続けられるフィジカルの強さが求められる。野球よりもサッカーの方が選手寿命が短いという現実を見れば、決して間違った考え方ではないだろう。そして野球とサッカーのちょうど中間に位置するのがアメフトだ。
本来ならば、野球はアメフトよりも戦術に長けた美しいプレーをしなければいけない。しかし近年の日本のプロ野球はどんどんメジャー化しており、美しさに欠ける。確かに美しい野球は非常に疲れる。1球1球作戦を変える場面も出てくるし、試合時間が長くなってしまうこともある。だが野球本来の美しさがあれば、ファンだって試合の長短は気にしないはずだ。ちなみに筆者はエネルギー削減のための試合時間短縮には賛成できない。もちろん資源を守る努力は必要だが、スピードアップだけを求めてしまえば、野球が野球ではなくなってしまう。もしプロ野球が本気でエネルギー削減を考えているのならば、ドーム球場での開催を減らし、屋外球場でのデイゲームを増やせば良いのだ。そうすれば照明を使う必要はないし、試合時間を短縮せずとも、消費エネルギーは驚くほど削減できるはずだ。
話は少し逸れてしまったが、まさかフェルナンデス選手の口から「美しい野球」という言葉が聞けるとは思わなかった。とても似つかわしいとは思えない。だが守備力に不安のあるフェルナンデス選手だが、守備練習を一生懸命こなす努力家という一面も持ち合わせている。このような努力を怠らないからこそ、日本で常に一線級の活躍ができるのだろう。守備に関しても決して上手くはないが、しかし体格を考えれば仕方のない面もある。だが守備への意識は決して低くはないと筆者には見えている。
チームは3連敗を喫し非常に苦しくなった。こんな時こそ必要なのが、繋ぎを大切にし、美しく1点を取りに行く野球だ。フェルナンデス選手にはそれを可能にすべく、気迫こもったプレーをこれからも続けて欲しいと思う。今日最も印象的だったのは、犠牲フライを打った直後のフェルナンデス選手の悔しそうな表情だった。本来ならば喜んでも良い場面ではあったが、犠牲フライを打っても貪欲に悔しがるフェルナンデス選手、彼の存在があればチームは決して沈まないはずだ!
2010年08月22日 15:58
2010/08/21 日本ハムvs西武 19回戦(涌井)
| 2:47 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| 埼玉西武 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 4 | 9 | 0 | |
| 北海道日本ハム | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 1 | 0 | 0 | × | 5 | 8 | 0 |
北海道日本ハムvs埼玉西武19回戦(札幌ドーム:33,775人)
埼玉西武ライオンズ 8勝11敗0分
継投:●涌井秀章(完投)
敗戦投手:涌井秀章 13勝7敗 3.25
ホームラン:高山久(7号ソロ)
【ゲームレビュー】
今夜の記事を書く前に、まず書いておきたいことがある。それは、筆者は少年時代、渡辺久信投手に最も憧れていたということだ。そしてライオンズの監督になった今も、尊敬する野球人の一人だ。しかし今シーズンの采配は、どうも渡辺監督らしくない。ましてや今日の試合、今カードに関して言えば、あまりに消極的な采配だったと言える。筆者は渡辺監督を尊敬するだけに、やはりファンの期待を裏切らない采配を振るってもらいたい。
まず言いたいのはローテーションの順番だ。昨日も少し書いたことではあるが、渡辺監督がまさか涌井秀章投手を2戦目に持ってくるとは思わなかった。この予告先発により、筆者は今カードの3連敗を覚悟した。と言うのは、野球には技術云々だけでは語れない部分が多い。特に勝利の女神の機嫌に関してだ。勝利の女神は消極的なプレーをするチームに対しては決して微笑んではくれない。積極的に勝ちに行くチームにしか微笑んでくれないのが、勝利の女神なのだ。
ではなぜ涌井投手の2戦目の先発が消極的なのか。まず1つに、ダルビッシュ投手と投げ合わせるよりは、増井投手と投げ合わせた方が勝算が高いと見たのだろう。しかしこれはまったくの間違いだ。10勝勝てるか勝てないかというレベルの投手ならこういう采配でも良いだろう。しかし相手はエース涌井秀章投手だ。15勝以上を計算できるピッチャーに対し、この起用法はあまりにも失礼だ。これは言い換えてみれば「涌井はダルビッシュには勝てない」と言われたようなものだ。もちろん渡辺監督にそういう意図はないだろう。だがエース本人の立場から見れば、プライドは傷つけられたはずだ。
渡辺監督からすれば、涌井投手はあと1勝でハーラートップタイに並ぶ。早い段階でトップタイに並ばせてあげたいという親心もあったのだろう。だがよく考えてみて欲しい。エース対決を制することなく、1軍半の投手に投げ勝つことで得る最多勝にどれほどの価値があるだろうか。過去大投手として名を残して来た投手たちは、必ずエース対決を制して最多勝を獲得している。だからこそ大投手と呼ばれているのだ。
涌井投手は最多勝を一度も獲ったことがない投手ではない。だからこの点に関して気を遣う必要は一切ないのだ。では別の視点から見るとどうか。やはり昨日も書いたことだが、「2勝1敗作戦」だろう。ダルビッシュ投手に対しては星を落としても、増井・武田両投手から確実に星を奪うという目論見であったと思う。確かに数字的に考えれば、常時2勝1敗で勝てれば勝率は.667となり、これは優勝に値する勝率となる。だが実際には不可能なことだ。だからこそ最初からカードを2勝1敗で考えるのは間違いなのだ。1勝2敗というカードもあることを考えれば、3勝して初めて平均が2勝1敗になると考えなければならない。つまり本気で優勝をするためには、1勝2敗だったカードの穴をどうやって埋めるかが重要なのだ。つまりカードの3タテだ。
だが渡辺監督の采配は、平野投手を信用していないという意味ではないが、ダルビッシュ投手への捨て駒という捕え方もできなくはない。調子が良い投手とは言え、平野投手にはまだ実績がないし、常に安定したピッチングができるわけでもない。捨て駒と考えるのが、戦略としては妥当な線だろう。
さらに違った見方をしてみよう。涌井投手はここしばらく、ずっと本調子とは程遠い状態で投げている。だが今カードは、涌井投手の調子を一気に上げるチャンスでもあった。いや、確実に上げることができたはずだ。もしダルビッシュ投手と投げ合うということになれば、当然涌井投手のモチベーションは最高潮に近くなる。気持ちの面でそれだけボルテージが上がってくれば、ピッチングコンディションも当然変わってくる。確実に調子を上げていたはずだ。だがダルビッシュ投手との対決を回避させられたことで、モチベーションは少なからず下がったはずだ。それが今日の5失点に繋がったと言ってほぼ間違いないだろう。
話は変わり、上本捕手についてだ。今日の上本捕手のマズいプレーに対し、渡辺監督はインタビューに於いて苦言を呈していた。しかしこれは間違いだ。「敗軍の将、兵を語らず」と言うように、敗れたチームの指揮官が一選手を責めるようなことをしてはいけない。指揮官足る者、上本捕手を起用した自らを強く責めるべきだった。このようなインタビューを聞いていても、今季は実に渡辺監督らしくない戦いが続いているように思う。
消極的な采配を振るってしまったことで、勝利の女神はすっかりそっぽを向いてしまった。この流れから行くと、明日は帆足投手が素晴らしいピッチングをしたとしても、試合には敗れてしまう可能性が高い。野球とはそういうスポーツなのだ。勝利の女神の機嫌を損ねてしまうと、その後が恐い。下手をすると何をしても裏目に出るし、何をしても勝てない状況になることもある。
勝利の女神に明日再び振り向いてもらうためには、ライオンズに方法は1つしかない。それは中島選手をスタメンで起用するか、しないにしても納得の行く穴の埋め方をすることだ。ライオンズには今、打率急上昇中のバッターが1人いる。中島選手の穴を埋められるとすれば、それは彼しかいないだろう。そしてその彼はインタビューなどで、クリーンアップへの強い憧れを何度も口にしている。4番タイプではないが、3番や5番であればその役割は十分に果たせると筆者は確信している。
とにかく明日大事なことは、勝利の女神に再び微笑んでもらうことだ。渡辺監督にはそれを可能にする積極的な采配で、明日は死に物狂いで勝ちに行ってほしいと思う!
2010年08月21日 23:46
2010/08/20 日本ハムvs西武 18回戦(平野)
| 3:12 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | R | H | E | |
| 埼玉西武 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 4 | 9 | 0 | |
| 北海道日本ハム | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1× | 5 | 12 | 0 |
北海道日本ハムvs埼玉西武18回戦(札幌ドーム:25,735人)
埼玉西武ライオンズ 8勝10敗0分
継投:平野将光~シコースキー~●岡本篤志
敗戦投手:岡本篤志 2勝1敗 3.90
盗塁:片岡易之(49)
【ゲームレビュー】
一週間ほど前から今日の試合は涌井秀章投手とダルビッシュ投手の親友対決になるであろうと予想されていた。しかし渡辺監督は相手のエースに対し自軍のエースをぶつけるのを避け、平野将光投手を先発に指名した。この采配に、筆者は少なからずガッカリしてしまった。この采配は3連勝を狙いに行ったものではなく、2勝1敗を狙いに行ったものだと感じたからだ。この時点で今夜の敗戦は、ある程度は予測できていた。一時は4-1とリードを奪うものの、9回裏土壇場で同点3ランを浴び、10回も岡本篤志投手が3連打を浴びサヨナラ負け。このサヨナラ負けは、渡辺監督の消極的な采配が呼んだと言っても決して過言ではないだろう。
今回の3連戦、初戦のダルビッシュ投手と3戦目の武田勝投手の先発はほぼ確定的だった。2戦目に関しては筆者は誰が来るのだろうと考えていたのだが、少なくともダルビッシュ投手や武田投手以上の投手が出てくる可能性はない。そう考えると、もし渡辺監督ら首脳陣が3連勝を目論んでの采配を取っていたら、先発の順番は涌井-平野-帆足になっていたはずだ。だが渡辺監督は3連勝を目指すのではなく、2勝1敗で良いという戦術を取ってきた。もちろんこれが間違いとは言わない。しかし優勝を狙うチームの最高指揮官には、下位チームが相手なら3連勝を目指す野球をして欲しかった。そういう意味で筆者はガッカリしてしまったのだった。
サヨナラ負けを喫したとは言え、平野投手は素晴らしかった。7月15日にプロ初完投・初完封を演じた時同様、日本ハム打線に付け入る隙を与えなかった。ボールに関しては、ベストな状態である時の平野投手と比べると物足りなさはあったが、しかし上手くバッターの目線をずらし、タイミングを外していた。試合が始まる前は4.00だった防御率も、試合後には3.46まで抑えてきた。登板している試合をトータルで見て行くとまだまだ安定感に欠ける部分は多いが、しかし今夜のような好投を積み重ねていけばピッチングに余裕が生まれ、もっと広い視野を持ってマウンドに登れるようになるだろう。次回の登板にも大きな期待を抱かせてくれる今夜の投球内容だった。
打つ方に関しては、左肩の痛みで中島裕之選手を欠いたとは言え、ダルビッシュ投手を相手によくヒットを続けたと思う。だがテレビの解説者も言っていた通り、今夜のダルビッシュ投手は内角を上手く攻め切れていなかった。内角で勝負をしたいという意図を配球から感じ取れはしたのだが、7回は内角を攻める前にライオンズ打線に捕まってしまった。結果的に見れば外角一辺倒だったという見方もできる。バッターの的の絞り方は大きく分けて2つある。球種か、コースかだ。今夜のダルビッシュ投手はほとんどが外角だったため、ライオンズ打線は内角を捨てることができた。球種とコースの内、コースを迷わずに済んだため、バッターからすれば外角だけに集中することができる。コースに的を絞り外角だけに集中することができれば、狙った球種が来なかったとしても1軍クラスのバッターであればヒットできる確率は一気に高まる。
今夜のダルビッシュ投手が外角に投げ切れなかったのか、それとも投げなかったのかは分からない。しかし結果的に内角攻めがほとんどない状況になってしまったため、ライオンズ打線に隙を見せることになってしまった。ダルビッシュ投手がベストピッチできていない状態だったとは言え、球界のエースの隙を逃さずに突いたライオンズ打線は見事だったと言える。そしてもちろんそれは森打撃コーチの作戦だったに違いない。
さて、今夜はもう1つブラウン選手についても少し書いておこうと思う。ブラウン選手は自らを「中距離ヒッター」だと評価している。アメリカ時代のプレーを見る限りでも、ブラウン選手は確かに中距離ヒッターだ。だが打率は未だに.240台前半と低迷している。チャンスでの集中力は素晴らしいと思うのだが、しかし「助っ人」として来日している選手としては、数字的には明らかに物足りない。1年目の5~6月までならこの数字でも構わないと思う。しかし日本のピッチャーの配球にも十分慣れてきたこの時期になっても打率が上がらないというのは、この先を考えるとやや不安が残る。
今夜の試合でブラウン選手の連続試合ヒットは7に延びたのだが、しかしそのいずれも単打か内野安打だ。外国人バッターとしての恐さがまるで感じられない。長打率を見てもブラウン選手は.451で、平尾博嗣選手の.441とほとんど変わらない。そして中島選手の.519、フェルナンデス選手の.524には遠く及ばない。これはなぜなのか?その理由は、ボールに対しある一点でしかコンタクトできていないためだ。ボールがそこを通ってくれればヒットになるが、通ってくれなければヒットにはならない。そして当然だが、そこを通ってくれる可能性は非常に低い。
一方の中島選手やフェルナンデス選手の場合は、ボールを線上で捕えることができている。つまり、ボールの軌道上にバットの軌道を水平に入れられているということだ。これができれば、多少タイミングを外されたとしてもボールをジャストミートさせることは可能だ。
グラマン投手の肩が癒え、いつ1軍復帰をするかが待ち遠しいこの頃だ。グラマン投手を1軍に上げるためには許投手かブラウン選手、どちらかが2軍に行かなければならない。岸投手の離脱がなければ許投手の抹消が考えやすかったが、しかし岸投手がいない今、しっかり試合を組み立てられている許投手を外すわけにはいかないだろう。そう考えると藤田投手・星野投手を欠く今、ブラウン選手を抹消してグラマン投手を上げ、8・9回を磐石のものにするという考え方も悪くはないと思う。いずれにせよ近々ブラウン選手の見極めは行われるだろう。特に中村剛也選手が帰って来た時にその可能性は高くなる。
ブラウン選手が来季もライオンズでプレーをするためには、早急に何かを変えなければならない。チームがブラウン選手に求めているのは単打による連続試合ヒットではない。その点を見失うことなく、ブラウン選手にはもっと積極的なバッティングを見せてもらいたいと筆者は願っている。
2010年08月20日 21:29
2010/08/19 西武vsソフトバンク 21回戦(野上)
| 3:22 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| ソフトバンク | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 6 | 1 | |
| 埼玉西武 | 0 | 0 | 1 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | × | 5 | 5 | 0 |
埼玉西武vs福岡ソフトバンク21回戦(西武ドーム:21,219人)
埼玉西武ライオンズ 14勝7敗0分
継投:○野上亮磨~工藤公康~長田秀一郎
勝利投手:野上亮磨 2勝2敗 4.50
ホームラン:フェルナンデス(5号ソロ)
盗塁:栗山巧(12)、上本達之(2)
【ハイライト】
【ヒーローインタビュー】
【勝利監督インタビュー】
【ゲームレビュー】
いわゆるローテーションの谷間となったこの試合、先発をしたのは野上亮磨投手だった。ここ最近の渡辺監督の野上投手の起用法だが、筆者は実に巧妙であると感じている。まず今月最初の登板は8月5日だった。しかし先発として4回5失点によるKO。するとその3日後、僅か中2日でロングリリーフをさせ、無失点の好投。さらに中5日空けて今度は1イニングをパーフェクトリリーフ。そして中4日を空けてのこの試合の先発登板となった。結果は7回を投げて1失点という、期待以上の内容だった。
渡辺監督も言っていたことだが、野上投手は先発調整をさせると結果を出せずにいた。ここ最近の起用法はそれを踏まえてのことで、先発調整をさせて結果を出せないのなら、リリーフ調整をさせて先発をさせようという監督の意図があった。そしてこの試合はそれが見事的中した。野上投手のリリーフ起用についてはこちらのコラムでも触れているので、今回は投球内容について書き進めていこうと思う。
この試合最も良かったのは野上投手自身が語る通り、チェンジアップだった。涌井投手や岸投手が右バッターへもどんどんチェンジアップを投げている姿を参考にし、チェンジアップの使い方を変えたようだ。それまでの野上投手のチェンジアップは、主に左バッター用の球種だった。簡単に解説をすると、右ピッチャーのチェンジアップは抜けやすい上にシュート回転がかかっている。つまり右バッターに対して投げると、デッドボールになる危険性が非常に高い球種なのだ。そのためにほとんどの右投手は、チェンジアップは左打者の外角低め用のボールと割り切っている。少し前の野上投手もその1人だった。ちなみに日本球界でシュート回転しないチェンジアップを投げられるのは、恐らく岸孝之投手ただ1人だと思う。
最近の野上投手は、右打者に対してもどんどんチェンジアップを投げるようになっている。その一因は、フォークボールが社会人時代に比べると落ちなくなっていることにもあるようだ。チェンジアップは抜けやすいと書いたが、逆にフォークボールは引っかかりやすいため、左バッターに対してデッドボールになる可能性が高くなる。そういうこともありこれまでの野上投手の基本路線は、左打者にはチェンジアップ、右打者にはフォークという一般的な組み立てが主要だった。それがプロ入り以降フォークの落ちが優れないということで、右バッターへの決め球を欠いていた。その影響が大きく、被打率は右打者の方が4分も高く、被本塁打も左バッターには今季3本だが、右バッターには6本打たれている。ちなみに対戦打者数は左右でそれほどの大差はない。
フォークボールが落ちないということで、今まではどうしてもスライダーに頼るしか方法がなかった。野上投手のスライダーは素晴らしいボールだ。フィールドビューシートで観戦していると、惚れ惚れしてしまう。だが困った時にスライダーばかり投げてしまうと、いくらそれが良いボールであっても打たれる危険性は高まる。つまり配球率が高まれば、それだけ狙われる可能性が高くなるということだ。ちなみにスライダーという球種は、狙われると最もホームランになりやすい球種でもある。
野上投手は上述したような理由で、今までは期待通りの投球ができずにいた。しかし右バッターにチェンジアップを投げられるようになったことで、投球の幅が一気に広がったわけだ。この試合でも3ボールまで行く場面が多かったのだが、それでも慌てる様子はまったくなく、ボールゾーンのチェンジアップを上手く振らせていた。3ボールからボールゾーンに投げられるということは、ボールに切れがあることはもちろんだが、フォアボールになってしまうためによほどの勇気がなければ投げることはできない。そして右バッターに対するチェンジアップに自信を持てるようになった影響もあり、左バッターに対してはさらに自信を持って投げられているようにも見える。
野上投手の今後の課題を挙げるとすれば、それはチェンジアップの安定だろう。今現在、野上投手はチェンジアップの握りは固定していないようだ。今後この握りをしっかり固定できて、チェンジアップを常に安定した状況で使えるようになれば、長いイニングを投げると考えた時非常に楽になるはずだ。そうすればスタミナ面にもメリットが出てくるし、バッターを見下ろして投げる余裕もさらに増すはずだ。
次回の登板ではまたリリーフに戻ることが濃厚であるようだが、恐らく今シーズン、まだ数回は先発のチャンスがあるだろう。野上投手はそのチャンスをしっかりと物にし、来季こそはローテーションピッチャーに加わってもらいたいと思う。この試合の勝利は、ホークスから自力Vの可能性を消滅させた価値あるものだった。大きな自信になるはずだ。野上投手にはその自信を失うことなく、次回以降もリリーフに先発に、大車輪の活躍をしてもらいたいと思う。
2010年08月19日 22:11
2010/08/18 西武vsソフトバンク 20回戦(石井)
| 3:26 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| ソフトバンク | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 | 13 | 0 | |
| 埼玉西武 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 7 | 0 |
埼玉西武vs福岡ソフトバンク20回戦(西武ドーム:19,414人)
埼玉西武ライオンズ 13勝7敗0分
継投:○石井一久~H岡本篤志~H長田秀一郎~Sシコースキー
勝利投手:石井一久 7勝4敗 4.13
セーブ:シコースキー 1勝2敗30S 1.25
盗塁:片岡易之(48)
【ハイライト】
【ヒーローインタビュー】
【勝利監督インタビュー】
【ゲームレビュー】
今夜の西武ドームは風雨にさらされていた。ドーム球場とは言え吹き抜け式になっている西武ドームは、風が吹くと雨が観客席を濡らす。突然の雷雨に見舞われた所沢地方、西武ドームには傘をさして観戦するファンが多くあった。そんな雷雨の中、約2ヵ月振りの復帰登板を果たしたのはベテラン石井一久投手だった。潮崎コーチは「とりあえずの5回」という頭で送り出したらしいが、しかし結果は復帰登板とは思えぬほどの内容で、7回途中まで投げて10被安打を浴びつつも3失点で切り抜けた。今夜の石井投手然り、日曜日の西口投手然り、ペナントレースが佳境を迎えるこの時期のベテランの活躍は、チームに勇気を与えてくれる。
石井投手の好投を引き出したのは、久し振りの先発マスクとなった細川捕手だった。今夜の細川捕手のプレーは、観ていて爽快だった。ただ一点、次の塁を狙い過ぎて二塁上でセカンドリードを取り過ぎ、4回に走塁死してしまったことは残念だったが、しかしこの失敗を含めても、今夜の細川捕手からは何か燃えるようなものが感じられた。特にリードは冴えていたと思う。石井投手のボールに切れがあると見ると、2ストライク後は3球勝負に出た場面もあった。結果的に外角ギリギリのところでスラーブがボールになってしまったが、もし外角を僅かでも広めに取る癖のある審判であれば、3球勝負の見逃し三振を取れていただろう。
全体的に見ても緩急を良く活かし、速いボールはさらに速く、遅いボールはさらに遅く見せるテクニックは流石とうなづく他なかった。具体的に説明をすると、まずストレートの残像をしっかりとバッターの目に残しておいてから、そのストレートと同じ軌道でスラーブなどの遅いボールを石井投手に投げさせていた。バッターは、2球連続で同じコースに来るとついバットを出してしまうことがほとんどだ。これが同じ球種であれば痛打されてしまうのだが、スピードの違うボールを使うことで、バッターのタイミングを簡単に外すことができる。このようなリードを見せた細川捕手も見事だったが、しかしそれ以上に復帰登板でその高度なリードに応えた石井投手もまた素晴らしかった。
今夜の7勝目は、石井投手にとっては3ヵ月振りの勝利の味だ。ファームでは135kmしか出なかったストレートも、今夜は142kmまでアップしていた。恐らくアドレナリンの為せる業だったのだろう。若い頃のように力任せに投げることなく、上手くバッターの打ち気を逸らす老獪なピッチングだった。そしてそのピッチングを盛り立てたのが、同じくベテランの平尾博嗣選手だった。
4回、平尾選手の言うところの「美味しい場面」が回ってくると、平尾選手の目つきが変わった。だが対するホークス和田投手は執拗な内角攻めをして来る。ボールはなかなか前へ飛んでいかない。当たってもファールになるばかり。しかしボール球はしっかりと見極めた。5球でフルカウントを作った後の6球目、和田投手はやはり内角の難しいコースにスライダーを食い込ませて来た。だがそれを狙っていたかのように、平尾選手は見事ライト前に弾き返した。3塁・2塁にいたランナーは2人とも生還し、2-1と一気に逆転に成功。平尾選手のこの一打がチームに勢いを与え、栗山選手の2点タイムリーもあってこの回一気に4点を奪った。和田投手が崩れたのはまさにこの回だけだった。しかしこの回の失点が致命傷となり、和田投手は自身が苦手とするライオンズ相手にまたもや敗戦を喫した。
4-3というスコアもさることながら、この試合は首位攻防戦に相応しい内容だった。とにかく両軍好プレーのオンパレードで、ライオンズ・ホークス共に内外野手が必死になってボールを追い駆けた。今夜西武ドームにいたファンは、両チームの守備を観れただけでもチケットを買った価値はあっただろう。この時期の首位攻防戦は、4月や5月に行われる首位攻防戦とはまるで意味が異なる。負ければ命取り、勝てば独走態勢が整う。実際、もしライオンズがこのカードで3連勝すればマジックが点灯する可能性もあった。だが流石にこのタイミングでの首位攻防戦3タテは考えにくい。今夜はライオンズが勝てたから良かったものの、ホークスが勝っていてもまったく不思議ではないゲーム展開だった。
だが西武ドームでの3連戦でライオンズは負け越すわけにはいかない。明日は野上投手の先発試合となるが、楽に投げさせてあげるためにも早い回での援護をしてあげて欲しい。明日勝てば、ローテーションを見れば再び連勝モードに入れる可能性がある。1勝1敗で迎える3戦目は非常に大事だ。野上投手にはそのプレッシャーに負けることなく、とにかく自分のピッチングだけを心掛けて無心で投げて欲しいと思う。そうすればきっと先発でも、ロングリリーフの時と同じような好投ができるはずだ。筆者は野上投手に対しては昨年来、非常に大きな期待を寄せているだけに、明日こそは先発投手として渡辺監督の起用に応えてもらいたいと思う!
2010年08月19日 02:17
2010/08/17 西武vsソフトバンク 19回戦(許)
| 3:46 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| ソフトバンク | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 2 | 0 | 5 | 12 | 0 | |
| 埼玉西武 | 0 | 0 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 8 | 0 |
埼玉西武vs福岡ソフトバンク19回戦(西武ドーム:20,808人)
埼玉西武ライオンズ 12勝7敗0分
継投:許銘傑~H岡本篤志~土肥義弘~●小野寺力~シコースキー
敗戦投手:小野寺力 1勝2敗 4.50
【ハイライト】
【ゲームレビュー】
台湾出身投手の対決は、実に19年振りのことだったようだ。19年前は西武の郭泰源投手と、ロッテの荘投手が投げ合った。そして時を経て19年振りの台湾対決を演じたのは西武許銘傑投手と、ソフトバンク陽投手だった。実はこの2人、台湾代表でチームメイトだったこともあるらしい。だが実績、経験から言えば許投手の方が遥かに上だ。許投手としては、先輩として不様なピッチングが許されるマウンドではなかった。
その意地もあってか、許投手は粘り強い良いピッチングを見せてくれた。終わってみれば6回を2失点に抑え、先発としての役割は十分に果たしたと言えるだろう。全体的にコントロールはいまひとつ定まらなかったが、それでもボールそのものには切れがあった。ストレートにも力があるように見えたし、小さく動かす変化球も効果的だった。本当ならば勝ち星を付けてあげたいところではあったが、それは叶わなかった。
打つ方では栗山巧選手が元気だ。一時は.270台を切るかとも思われた打率が、今夜の試合が終わった段階では4打数2安打で.299にまで上がって来ている。片岡・栗山の1・2番コンビの調子がこれだけ上がってくれば、その後には3割バッターが2人控えている。中島選手・フェルナンデス選手の前にランナーを出すことができれば得点力は自ずと上がり、先取点を取れる試合も増えてくる。野球は何と言っても先攻逃げ切りが重要なスポーツだ。先取点を挙げることができれば、6~7割という高い確率で勝つことができる。
今夜の試合に関して言えば、1点を先制されたものの、すぐに4-1と試合をひっくり返した。首位にあるチームたるもの、4-1から逆転負けをしてはいけない。だが9連勝のかかったこの試合、4-3という点差から小野寺力投手が同点・逆転を許してしまった。
結果を述べると、まずコントロールが定まっていなかった。「だいたいこの辺に投げれば抑えられる」という配球に対し、そのゾーンに投げ切れていない。あまり投げる機会のない不慣れなマウンドなら仕方ない面もある。しかし舞台はホームの西武ドームだ。これまで小野寺投手が数え切れないほど登ってきたマウンドだ。川崎選手に許したヒットに関して言えば、首位打者争いに加わる打者に投げるべくボールではなかった。甘い内寄りのストレート。ホームランにならなくて良かった、というのが筆者の正直な感想だった。
小野寺投手とホークスの馬原投手は、タイプとしたら同じ部類に入るだろう。ストレートとフォークを武器にするリリーバー。だがその実績を見ると2人の間には大きな隔たりがある。球種の数から言えば馬原投手の方が充実している。馬原投手はフォーク(スプリッター)だけではなく、カッターやチェンジアップ、カーブにスライダーと様々球種を投げることができる。だが小野寺投手の場合は本当に使える変化球と言えばフォークボールしかないというのが現状だ。一時はスライダーを投げていたこともあったが、1軍で通用するレベルまでには至らなかった。
さらに2人の数字の違いを見ていくと、馬原投手はこの試合までの通算セーブが153を数え、昨年までの通算防御率は2.82(今季は0.99)だ。この実績に対する年俸は1億4000万円まで増えてきている。一方の小野寺投手は通算セーブが59で、昨年までの通算防御率は3.98(今季は4.50)となっている。年俸は馬原投手よりも1億円少ない4100万円だ。
年齢は小野寺投手が上の1歳差なのだが、なぜここまで野球に差が出てしまったのだろうか。今夜の2人を観ていて筆者が思い出したのは、合気道の師範・藤平光一(とうへいこういち)氏の言葉だ。「理詰めで鍛錬し、無で戦う」。これができているのが馬原投手であり、できていないのが小野寺投手ではなかったろうか。2人とも練習に関しては間違いなく理詰めで、根拠のあるトレーニングを行っていると思う。だが試合に関して言えば、小野寺投手は無になれていない。マウンド上で色々なことを考えてしまっているように筆者には見えるのだ。
ピッチャーは、マウンドに登ったらボールを正確な場所に投げることだけに集中しなければならない。抑えた、打たれたというのは結果論でしかないわけだ。小野寺投手の場合、その結果論を先に考えてしまうために、思うような投球ができずにいるのではないだろうか。さらに言えば、小野寺投手は自分で自分を苦しめているように感じることが多々ある。実際にどうかは分からない。あくまでも筆者の考えなのだが、馬原投手は「あの辺に投げておけば打たれない」と考えているのに対し、小野寺投手は「あそこに投げなければ打たれる」と考えながら投げているように感じることがある。2人の能力が例えばまったく同じであっても、この考え方の違いにより、結果は大きく変わってしまうだろう。当然後者の方が視野が狭くなり、ピッチングが苦しくなる。
小野寺投手を復調させるためには、マウンドで考えさせないことが重要だと筆者は考えている。例えば2006年に好成績を挙げた時は、絶対的守護神であった豊田清投手がFAで巨人に移籍してしまい、考えている暇もなく連日マウンドに登らなければならなかった。だからこそ29セーブを挙げ、防御率も2.82と本来の実力を存分に発揮することができた。
筆者の予想では、近々中村剛也選手が1軍復帰し、ブラウン選手を抹消するのではないかと考えている。そうすれば上がってくるのはグラマン投手だ。グラマン投手が上がってくれば8回・9回が磐石のものとなる。そうすれば小野寺投手がファーム落ちする可能性も低くはないだろう。だがそれでも良いと思う。とにかくファームで全試合に投げさせてみてはどうだろうか。毎日毎日試合が行われる度、考える暇を与えることなく投げさせ続けるのだ。そうすれば藤平氏の言う無を得ることができ、2006年の心理状態を取り戻すことも期待できる。
だがもしこのまま1軍で、これまでのような起用法が続けば、小野寺投手の不安定さが改善されることはないだろう。ファームに落としても、状況によっての起用法には意味はないと思う。とにかくどんな状況であるにせよ、毎日マウンドに登らせることだ。1軍でこれができればベストかもしれないが、そうも行かない。それならばファームで毎日投げさせるのが改善策になるような気がする。もちろん必ずしも1軍登録を抹消させる必要はない。西武ドームと第二球場で1・2軍が試合をする日は、昼間はファームの試合で投げさせ、夜は1軍で投げさせるくらいの荒治療をしても良いだろう。小野寺投手はそれくらいの切っ掛けを与えなければ、この先何年も同じ状態を続けてしまう可能性も否定できない。それこそトレード要員になる可能性だってあるだろう。
だがファンがそれを望むはずはない。ファンが望むのは、リードした9回のマウンドに小野寺投手が君臨している未来だ。そうなるためにも、今は形振り構っている場合ではない。馬原投手を参考にするくらいの決死の覚悟が必要だろう。なぜ馬原投手は抑えられて、自分は抑えられないのか。その違いを自分の中で明確にし、足りないものを少しずつ補っていけば良いと思う。とにかくこのままではダメだ。小野寺投手には今、野球人生を大きく揺さ振るほど大きな切っ掛けが必要だ。技術以外の部分で何かを大きく変えなければ、小野寺投手が本当の意味で復活することはないような気がしてならない。だがそんな悲しい未来に、我々ファンは目を向けたくはない。小野寺投手には大勢のファンのその願いを背負い、明日もマウンドに登ってもらいたいと切に願う。
2010年08月18日 02:07

