
2010/06/30 西武vs日本ハム 11回戦

| 4:30 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | R | H | E | |
| 北海道日本ハム | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 7 | 14 | 1 | |
| 埼玉西武 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 4 | 11 | 0 |
埼玉西武vs北海道日本ハム11回戦(大宮:20,314人)
埼玉西武ライオンズ 5勝6敗0分
継投:野上亮磨~小野寺力~H藤田太陽~H長田秀一郎~Hシコースキー~●大沼幸二~松永浩典
敗戦投手:大沼幸二 1勝1敗 5.56
ホームラン:中島裕之(11号2ラン)、片岡易之(7号ソロ)、石井義人(3号ソロ)
【ハイライト】
【中島裕之・逆転2ランホームラン】
【ゲームレビュー】
今夜は本当にもったいない星の落とし方をしてしまった。5回途中まで野上亮磨投手が何とか粘り強く投げ、その後を継いだリリーフ陣も素晴らしいピッチングを披露してくれた。その中でも特に素晴らしかったのは小野寺力投手だ。今夜の小野寺投手は見ていて、打たれる気配がまったくなかった。
もうすでに多くのファンが気付いていることだとは思うが、このブログでもそのことについてやっとここで触れてみようと思う。小野寺投手は少し前と比べると、ピッチングモーションをまったく違うものに変えている。1軍に上がってからの数試合は、まだ新しいモーションに馴染めず、ベストピッチできない試合もあったのだが、ここ最近の数試合に関しては、新しいモーションがかなり身体に馴染んできているように見える。とても自然な状態、そして雰囲気でボールを投げられている。
具体的にどこが変わったかと言うと、腕の振り方と左脚の使い方が以前とはまるで違うものになっている。以前は、腕は直線的にスウィングし、左脚はL字ステップを採用していた。L字ステップとは、振り上げた左脚を垂直に地面ギリギリまで降ろし、そこから捕手方向へと横移動(並進運動)させていく、縦割りにしたラインへのコントロールを良くするためのステップだ。簡単に言えば、逆球を減らすためのステップだと言える。だがこのステップは、小野寺投手の生命線であるボールの力を殺してしまう。これがここしばらく続いている小野寺投手の不振の原因だったと筆者は見ている。
そのL字ステップを、小野寺投手はオーソドックスなステップに変えている。オーソドックスと言っても、ただ単に普通のステップという意味ではなく、無駄のない効率的なステップという意味だ。恐らく石井貴コーチの指導の下、基本に立ち返ったのだろう。ヒップファーストフォールと言って、お尻から並進移動していくモーションに変わり、軸足股関節にタメた重心を、スムーズに前脚股関節に移せている。このようにリニアムーヴメント(体重移動)がスムーズになると、ボールに力も乗りやすくなる。
さらに小野寺投手は、腕の振り方もまったく変えている。以前筆者は、小野寺投手は一度サイドスローに挑戦すべきと書いたが、まさにその意図通りのモデルチェンジだと言える(投げ方自体はオーバーハンドスローのまま)。以前は投石器のように、腕を真上から真っ直ぐ振り下ろす投げ方をしていた。そのために体調の僅かな変動が、ボールに大きな影響を与えていた。つまり上半身の力に頼った投げ方だったため、身体に疲れが溜まるとその疲れがボールに直結してしまっていたのだ。しかし今の小野寺投手は違う。テイクバックからコッキング、アクセラレーション、リリース、フォロースルーというように、セットからリリースまでのボールの移動距離が非常に長くなった。細かく書くと非常に長くなるので詳細は省くが、つまりは上体の力に頼って投げるのではなく、体のメカニズムを用いて投げているということだ。これにより、体調が少しくらい悪くても生きたボールを投げることができる。
小野寺投手のこのモデルチェンジに気付いた時、筆者はすぐに気付いたことがある。それは、松坂大輔投手にそっくりだということだ。ピッチングフォーム(見た目)そのものはまったく異なるが、しかしピッチングモーション(メカニズム)はそっくりだと思う。特にフォロースルーでの腕の抜き方は、松坂投手そのものだと言える。恐らく小野寺投手は1月、松坂投手とともに自主トレをした頃からモデルチェンジに着手していたのだろう。そしてそれが6月に入り、やっと自分のものになり始めたのだと思う。逆を言えば自分のものになっていなかったから、石井貴コーチは小野寺投手を簡単には上に推薦しなかったのだろう。最初の1軍登録にしても、あの時はチーム事情による昇格だったと見える。
まだモーションそのものを完璧に自分のものにはできていないため、これからも多少は悪いピッチングをしてしまうことがあるだろう。だがこの良い悪いの境目は非常に微妙だ。紙一重と言っても良い。その差は、コントロールミスしたボールがどこに外れるか、たったそれだけのことなのだ。ストライク先行で組み立てられるようになった今、重要なのはコントロールミスしたボールをボールゾーン側に外せるかどうかだ。これができれば今夜のようなピッチングを続けることができるだろう。しかしコントロールミスしたボールが、ストライクゾーン寄りに外れてしまうと、痛打を浴びることが増えてしまうはずだ。6月23日の楽天戦のように。
渡辺監督も、当然小野寺投手のモデルチェンジには理解を示しているはずだ。だからこそ一度や二度打たれただけで起用法を変えてしまうのではなく、ある程度プレッシャーのかかる場面で投げ続けさせて欲しいと思う。そうすれば後半戦は、間違いなく小野寺投手がブルペンを引っ張ってくれるはずだ。
さて、今夜渡辺監督は大沼投手に対し、「最終的には自滅。大沼はもう少し期待していたが、変わっていない。荷が重すぎる」とバッサリ斬り捨てた。何が変わっていなかったのか?それは単純なことだ。キャッチャーを信頼していないのだ。恐らくキャッチャーの配球の意図をまったく考えずに、ただボールを投げているだけなのだろう。「良いピッチングをすれば抑えられる」と考えている典型的なピッチングだ。しかしこの考え方は、野球人の端くれでもある筆者は間違いだと断言したい。良いピッチングをするから抑えられるのではない。抑えてこそ良いピッチングなのだ。大沼投手はそれをまだ理解していない。
今夜はベテラン阿部真宏選手が、好守で何度もチームを救った。しかしそれはただのファインプレーではなく、状況判断がしっかり成されたプレーだった。まさにベテランの落ち着きとも呼べるものだ。大沼投手は、その阿部選手と僅かに一学年しか違わない。それなのに状況が頭に入っていない、考えのないピッチングに渡辺監督は怒りを感じたのだろう。このようなピッチングを繰り返していては、大沼投手が2軍に戻される日はそう遠くないかもしれない。
渡辺監督の中では、試行錯誤を繰り返した小野寺投手と、何も変わっていない大沼投手とでくっきりと評価が分かれてしまっていると思う。大沼投手が失った信頼を取り戻すためには、それ相応の尽力が必要だと思う。


2010年07月01日 02:56 Tweet


