
2010/06/19 西武vsソフトバンク 11回戦

| 2:53 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 6 | 0 | |
| 埼玉西武 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 | 1 | 0 | × | 5 | 7 | 1 |
埼玉西武vs福岡ソフトバンク11回戦(西武ドーム:26,845人)
埼玉西武ライオンズ 8勝3敗0分
継投:○帆足和幸~H藤田太陽~長田秀一郎~Sシコースキー
勝利投手:帆足和幸 7勝5敗 2.49
セーブ:シコースキー 2敗20S 1.88
ホームラン:細川亨(5号3ラン)
【ハイライト】
【ヒーローインタビュー】
【勝利監督インタビュー】
【ゲームレビュー】
ファンの多くが心配されていた細川捕手の打力だったが、ここに来て絶好調という状態になった。打順が8番から9番になったことで役割がさらに明確になり、プラスにはならなかった8番での「ノンプレッシャー状態」とは違った精神状態で打席に入れているのだろう。
まず最近の細川捕手を見ていて一番強く思うのは、タイミングの良さだ。バッティングで最も重要な要素はタイミングだ。これ以上に大事なものはないわけだが、そのタイミングの取り方が最近の細川捕手は素晴らしい。なぜそこまでタイミングが重要かと言うと、タイミングが合っていないと、ジャストミートしたとしてもヒットになる可能性は低くなる。逆にタイミングが完璧であれば、バットの芯を外したとしてもホームランになることさえある。
バッターがスランプに陥る原因の大半はタイミングにある。つまりタイミングを合わせられるようになれば、スランプは多くの場合で抜け出せるということになる。スランプになると、練習を休む選手がよくいる。これは賛否あることではあるが、メリットも当然ある。そのメリットとは、スランプ中に身体に染み付いてしまったタイミングを、一度ニュートラルに戻せるという効果だ。タイミングが合わない身体の状態でいくらバットを振っても、タイミングが合わないまま打席に立つことになってしまい、悪いタイミングをさらに身体に染み付けてしまう結果となる。それならばそのタイミングを一度リフレッシュさせ、悪くなった感覚を身体に忘れさせてあげれば良い。そのために有効なのが遅球打ちだ。
スランプになったらとにかく遅い球を、反対方向に打つ練習をすれば良いと筆者は考えている。もちろんこれがすべてではないが、多くの場合で有効だ。ちなみに反対方向に打つとは、流し打ちをするという意味ではない。投げられたボールの、自分(打者)側の半分の面をバットで叩くイメージだ。右打者ならば、ボールの左側を叩くということになる。
東京ヤクルトで活躍された古田敦也捕手のスランプ脱出法も同様だった。彼はスランプに陥ると、試合ではとにかく変化球(遅球)を右方向へ打つことに徹底した。その理由は上述の通りで、右打者の古田捕手はボールの左側を叩くことに徹底していた。その結果、打球は右方向へと飛ぶことが多くなる。このバッティングを数週間続けていると、そのデータが相手チームにも残り、「古田は右打ちをしてくる」という前提で、右打ちがしにくい内角を中心に攻めてくるようになる。だがそれは古田捕手は承知済み。そのタイミングを待って、内角球を引っ張っていた。ひたすら右打ちを続け、ピッチャーが内角中心に攻めてくる時期が、古田捕手のスランプ脱出時期ということになるわけだ。
細川捕手が自分の打撃についてどのようなことを考えているのかは筆者には分からない。だが調子が良い時の細川捕手を見ると、やはりボールをしっかり引き付け、自分のタイミングでバットが振れている。自分のタイミングでバットが振れているため、ボールとバットが接している時間も長く、その分パワーをしっかりとボールにぶつけていくことができ、そのパワーでボールを遠くまで運ぶことが可能になる。
細川捕手の好調がどれだけ続くかは分からないが、しかし欲を出さなければしばらくの間は続くのではないだろうか?絶好調の時にしっかりと打率を上げておくことさえできれば、シーズン打率を.260前後で終えることも可能かもしれない。
さて、多くの方は捕手に打撃を求めているようだが、しかし筆者は違う。筆者の野球理論では捕手・遊撃手は打てなくても良い。特に捕手は打てなくても良いと考えている。その理由は、打席までの準備時間が短いためだ。他の野手であれば攻撃中は、常に自分の打席をイメージして様々な準備を行うことができる。しかし捕手は違う。ベンチに戻れば配球の反省をし、次の回はどういう攻め方をするかをピッチャーとしっかり打ち合わせする必要がある。そのため自分の打席に対する準備が疎かになってしまうわけだ。
もちろん素晴らしいリードをしても、古田捕手のように打者としても一流の捕手は存在する。しかしそれは限られた一部の選手だけで、傾向から見ると、打撃には目を瞑って捕手能力の高さでプロ入りしてきた捕手が多い。古田捕手然り、楽天の嶋捕手然りだ。しかし細川捕手の場合は違った。「強打の捕手」という肩書きを持っての入団だったため、最初からある程度の打力が期待されていた。だがそれが余計なプレッシャーになってしまった。
もし打撃にまったく期待されていなければ、捕手としての成長はもっと速かっただろうし、捕手としての成長が速ければ、打者としての成長時期ももっと早くなっていたはずだ。だが入団時から打撃も期待されてしまったことで、悪く言えば中途半端な成長となってしまった。もし細川捕手が森監督時代の西武に入っていたとしたら、捕手としての成長は恐らくもっと速かっただろう。なぜなら森監督は、捕手には必要以上の打力は求めなかったためだ。
このブログ読者の方の多くから「細川ではなく上本を使ってはどうか?」という内容のメールをいただいて来た。しかし筆者はシーズン当初からその内容のメールに対しては、一貫して細川捕手を起用すべきとお答えしてきた。捕手というポジションは、練習して上手くなれるポジションではない。経験しなければ上手くはなれない。そして勝つためには絶対に「名捕手」が必要だ。となると、上本捕手をレギュラー捕手として起用し、上本捕手の打力で5点取れる打線になったとしても、守備では6点目を取られる可能性が高まってしまう。また上述したように、もし上本捕手を常用すれば、上本捕手は自分の打席に対する準備に時間を取れなくなり、当然打力は目に見えて低下するはずだ。だがもし今後上本捕手を育てて行きたいのならスタメンではなく、大量リードした場面や、大量リードされた場面でマスクを被らせれば良いと思う。特に大量リードされた場面では相手打線が乗っているし、自軍のピッチャーは逆に萎縮してしまっている。そういう難しい状況でピッチャーをリードをすることで、キャッチャーは育っていけるのだ。
細川捕手の絶好調がどこまで続くかは分からない。しかし今後も恐怖の9番バッターとして.260前後、10本塁打前後打ってくれれば、それは捕手としては十分な数字だと言えるだろう。そしてその数字が.270になり、15本塁打になれば、細川捕手のキャッチャーとしての能力を見ればどこからも文句は上がらないはずだ。30代に突入し、いよいよ円熟味を帯びてきた細川捕手だ。ホームランはそれほどは期待していないが、とにかくチームを日本一に導くリードを頑張ってもらいたいと思う。


2010年06月22日 06:27 Tweet


