
2010/06/09 西武vs阪神 3回戦

| 3:01 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| 阪神 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 | 0 | |
| 埼玉西武 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1× | 2 | 6 | 0 |
埼玉西武vs阪神3回戦(西武ドーム:30,844人)
埼玉西武ライオンズ 3勝0敗0分
継投:○涌井秀章(完投)
勝利投手:涌井秀章 8勝3敗 2.88
【ハイライト】
【ヒーローインタビュー】
【ゲームレビュー】
勝って交流戦MVPを狙うと宣言してマウンドに登ったエース涌井秀章投手だったが、その宣言通り見事なピッチングを披露してくれた。9回を投げ抜き4被安打1失点、10奪三振は圧巻の内容だった。初回こそ先頭バッターに初球をヒットされリズムを失ってしまったが、2回以降はパーフェクトとも言える内容だった。
この試合のポイントは5回表だったと思う。この回を失点なく切り抜けたことで、勝利の女神がライオンズに振り向いてくれた。涌井投手は先頭のブラゼル選手をフォアボールで歩かせ、林選手にヒットを打たれ、1アウト2塁・1塁というピンチを背負ってしまう。続くバッターは桜井選手。カウント2-2になった5球目、これがこの試合を決定付けたと思う。外角一杯に決まったスライダー。桜井選手はまったく手を出すことができなかった。桜井選手は完全に内角を意識していたのだろう。バッテリーの配球もそういう内容だった。だが決め球に持って来たのは外一杯のスライダー。コース的には審判の手が上がっても良いようなボールだったのだが、判定はボール。だがこの1球ですでに勝負は決まっていた。桜井選手は6球目を打ち、セカンドへのダブルプレー。涌井投手からすれば、結果的に5球目はボールでよかったという結果になった。勝利の女神の粋な計らいだったのかもしれない。
配球を組み立てた細川捕手のリードも素晴らしいし、細川捕手の要求通りに投げた涌井投手もまた素晴らしかった。この5回は、もしこのバッテリーでなければ無失点で終われたかどうかは分からない。9番バッターが相手とは言え、状況はランナーを2人背負ったピンチ。まるで金本選手を迎えたような慎重、かつ大胆な配球だった。もしこの場面、内角に行くぞと見せかけた伏線通り、5球目に内角ストレート、もしくはツーシームを投げていたら、致命的な点を失っていただろう。桜井選手の意識は、それほどまでに内角にしかなかった。そしてそれをしっかりと見抜いた細川捕手の洞察力は、さすがは野村克也元監督が褒め称えただけのことはある。このリードを見せられてしまうと、やはりライオンズの正捕手は誰でもなく細川捕手であることを確信せざるを得ない。
さて、今夜は見事1失点で切り抜けたバッテリーだけではなく、ヒーローも称えないわけには行かない。そのヒーローとはもちろん、今季2本目のサヨナラヒットを放った片岡易之選手だ。1-1で迎えた9回裏、状況は2アウト2塁。5回に打ったタイムリー3ベースにも同じことが言えるのだが、特筆すべきは両打席でフルカウントまで持って行ったということだ。片岡選手は比較的早打ちが多く、これだけが1番バッターらしからぬ姿だったのだが、今夜はフルカウントまで粘り、ヒットを打った2打席で計15球ピッチャーに投げさせている。この粘りがピッチャーの集中力を削ぎ、サヨナラヒットに繋がった。1番バッターに最も求められる粘り方だった。
調子が悪い時の片岡選手は、カットしに行ったボールがフェアになってしまうことが多かったのだが、今夜の打席ではしっかりとファールゾーンにファールを打つことができていた。そのため余裕を持ってカウントを整えることができ、好球を待つことができた。今夜の2点は両方とも片岡選手による打点で、勝負どころでの集中力は見事としか言いようがない。前日には涌井投手らとともに食事に行き、先頭打者ホームランを約束したという片岡選手。ホームランこそ出なかったものの、先頭打者ホームランよりも遥かに価値のある2安打だった。
ヒットを打った片岡選手も見事だったが、この場面で2塁ランナーの斉藤選手をホームに突っ込ませた河田3塁ベースコーチの判断も素晴らしかった。タイミング的にはギリギリ、もしくはアウトだったと思う。だが河田コーチの頭の中には、左翼手マートン選手の返球に関するデータが入っていたのだろう。ランナーが3塁に向かうかなり手前から腕をグルグルと回していた。そしてその判断に間違いはなく、タイミング的にはギリギリではあったが、マートン選手からのバックホームは大きく3塁側ファールゾーンに逸れ、斉藤選手は難なくホームインし、サヨナラ勝ちとなった。
マートン選手は外国人特有の肩の強さはあるものの、バックホームの精度は五分五分だったのだろう。この試合までに2つの補殺を決めているマートン選手に対し、河田コーチがランナーを回したのはそこに理由があったと思う。さすがは現役時代、ライオンズで脚のスペシャリストとして鳴らした河田コーチだけのことはあった。
今夜ライオンズが勝ち、オリックスが負けたことで、ライオンズは交流戦で単独首位に立った。残るゲーム数は3つ。予想される先発は明日の阪神戦がタイガースキラーの石井一久投手、週末の広島戦が帆足和幸投手と岸孝之投手だ。名前だけを見ると残り3連勝できるだけの可能性は十分に感じられる。だがそこはライオンズが苦手な交流戦だ。決して油断することなく1試合1試合を大事に、かつ思い切ったプレーで最終的に交流戦優勝を目指して欲しいと思う。


2010年06月09日 21:20 Tweet


