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正捕手争いの行方と、正捕手としてのプライド


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2010年、果たしてライオンズの正捕手争いの行方はどうなるのだろうか?細川亨捕手銀仁朗捕手とで争われると見られていたが、銀仁朗捕手は7日の阪神戦で左膝大腿骨骨挫傷という怪我を負ってしまった。佐々木チーフトレーナーのコメントによれば、開幕に間に合わせることは難しいようだ。

マスコミの開幕スタメンマスクの予想は、銀仁朗捕手が有力とされていた。それは恐らくエース涌井投手との兼ね合いからだったろう。だが筆者は銀仁朗捕手が万全だったとしても、開幕マスクは細川捕手が被っていたと思う。

開幕戦というのは、たかだか144試合分の1試合というものではない。この試合に勝てるか勝てないかでスタートダッシュの勢いが変わってくるし、2戦目以降の先発ピッチャーへの影響も変わってくる。チームからすれば、開幕戦からの連敗は絶対に許されない。そんな中でもし開幕戦を落とせば、2戦目以降の先発ピッチャーに掛かるプレッシャーは想像以上に膨れ上がる。そういう要素もあり、開幕戦というのは非常に大事な一戦になるわけだ。

もし銀仁朗捕手の方が、細川捕手よりも実力が上であるならば、当然開幕マスクは銀仁朗捕手のものになるだろう。だが現時点ではそうではない。もし両捕手ともに状態が万全であるならば、キャッチャーとしての実力は完全に細川捕手の方が上だ。銀仁朗捕手が確実に細川捕手を上回っている部分を挙げるならば、それは走力だけだろう。

肩に関しては、昨年の数字は決して参考にはならない。肩・肘に不安のあった細川捕手は、常に再発の恐怖感と隣りあわせの中での送球だった。それでもキャッチングからセカンド到達までの送球タイムは1.92秒という数字だった。捕手のセカンド送球タイムは1.8~1.9秒が一流とされる。ちなみに銀仁朗捕手は1.88秒と、肩に関してはほぼ互角だと言える。ただし送球の安定感、盗塁をさせないリードという話に及べば、細川捕手の方がまだまだ上となるだろう。

配球に関しては、完全に細川捕手に軍配が上がる。銀仁朗捕手も昨年は大きな成長を見せたが、しかしそれでも細川捕手のリードと比べると単調さが目立つ。銀仁朗捕手のリードは、パワーピッチャーをリードする分には有効かもしれないが、技巧派のピッチャーをリードするにはあまりにもボキャブラリーが少ない。だが銀仁朗捕手は今年まだ23歳だ。23歳と言えば、細川捕手のプロ1年目の年齢となる。ということは、銀仁朗捕手がまだ成長過程にいることは当然のことで、銀仁朗捕手が細川捕手よりも劣ることには何の不思議もない。

だがマスコミからすれば地味な細川捕手よりも、派手なプレーができる銀仁朗捕手の方が話題性に富み好むところなのだろう。だが筆者はライオンズが勝つためには、細川捕手が144試合でスタメンマスクを被るくらいである必要があると考える。その理由は昔から言われていることではあるが、扇の要が不安定であれば、扇はかんたんに壊れてしまうからだ。もし昨年細川捕手が万全であったなら、少なくともチームがBクラスに転落することはなかっただろう。

細川捕手には正捕手としてのプライドがあるはずだ。2006年、伊東監督が開幕マスクを銀仁朗捕手に託した時は、そのプライドはそうとう傷ついたと思う。その当時はまだまだ成長過程にあった細川捕手とは言え、高卒ルーキーの捕手に実力で負けることは考えられなかった。伊東監督が、話題性以外で何を理由に銀仁朗捕手を開幕マスクに起用したのかは筆者には分からない。だが少なくとも言えることは、プレー以外の面に関して伊東監督は、東尾修監督のような細やかな気配りがなかったように筆者は感じていた。

渡辺監督は当然東尾監督に近い感性の持ち主だ。この2年間の采配を見ていても人情味が溢れているし、男気というものも大切にしている。だからこそ昨年の開幕戦に関しても、まだ右肩に不安の残る細川捕手を開幕マスクに選んだ。結果細川捕手はこの開幕戦で、逆転3ランホームランを放っている。筆者も千葉マリンスタジアムで観戦していたのだが、レフトポール際に飛び込むこのホームランに大興奮したことを今なお鮮明に覚えている。

選手は、周りが想像している以上に監督のことを見ている。不服があろうとなかろうと、それが納得できる選手起用であるならば、外された選手も腐ることはない。むしろその起用が勝つために必要な起用だと納得できた時は、例え外されたとしても監督への信頼感は厚くなる。結果的に日本一にはなれなかったが、選手からそういう信頼を最も得ていたのが東尾修監督だった。そしてその東尾イズムを継承しているのが渡辺久信監督だ。

もし今回銀仁朗捕手の怪我がなかったとしても、渡辺監督は間違いなく開幕マスクは細川捕手に任せていたはずだ。例え開幕前夜まで競争をさせたとしても、よほどのことがない限り渡辺監督は、開幕マスクは細川捕手に預けていたと思う。そして3月20日には2年振りとなる西武ドームでの開幕戦で、細川捕手はその期待に大いに応えてくれるに違いない。

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2010年03月10日 07:31 


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