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片岡易之選手の新打法、打ち損なって打つ長打


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片岡易之選手は今季、新打法に挑戦をしている。昨年はヤクルトの青木選手のバッティングを取り入れた片岡選手だったが、今季はイチロー選手のバッティングを参考にしているようだ。こちらの記事でそのバッティング関して少し解説をしているのだが、結論から言えばわざと打球を詰まらせるバッティングに挑戦している、ということになる。

この打ち方は、片岡選手のように高い出塁率が求められる選手にとってはベストだと筆者は考える。昨年までの片岡選手は、ポイントをかなり前に置いていた。ポイントに関しては、筆者は大まかに5段階に分けて考えている。打つポイントとはその名の通りで、ボールをどのポイントで打つかということだ。

1.前(スウィング時に両腕が二等辺三角形を作り出すポイント)
2.少し前(両腕がホームベース型を作り出すポイント)
3.体の前
4.体の後ろ
5.1よりも前
筆者はこの5段階でポイントを分類している。

昨年の片岡選手はこの例で言うと1で打っていることが多かった(昨年の13本塁打はこれが大きく関係している)。このポイントで打つのはホームランバッターだ。中村選手G.G.佐藤選手は完全にこのポイントでしか打っていない。このポイントで打つメリットは、両腕で作り出す二等辺三角形に隠されている。バットを振った際、両腕で二等辺三角形ができる瞬間が最もバットスウィングのスピードが速くなる。つまりそれだけ多くのエネルギーをボールにぶつけていけるため飛距離が伸びる。

反面デメリットは、この段階になるともうバットを動かすことができなくなる。つまりバットを振っている最中に「空振るかも?!」と思っても、そこからバットの軌道を修正することはほぼ不可能に近い。さらに言えば緩急でタイミングを外された場合、1の前にあるポイントは5となる。5のポイントでバットを振りに行っても、バットがボールに当たることはない。なぜならば、ボールがまだバットの届く範囲まで来ていないためだ。

逆に1のポイントで打ちに行って射し込まれた場合は、ポイントは2になる。「ホームランの打ちそこないがヒットになる」という表現があるが、これはまさにポイントが1から2に移った時の状況を言い表している。

昨年までの片岡選手は上述の1のポイントで打つことが多かったのだが、今季はこれを2のポイントに移しているようだ。つまり両腕が二等辺三角形ではなく、ホームベース型になるポイントで打とうとしている。

2のポイントで打つ最大のメリットは、ボールをインパクトしたあとでもバットコントロールがまだ可能ということだ。1のポイントで打った時を「弾き返す」と表現するならば、2のポイントで打った時は「乗せて運ぶ」という表現ができる。2のポイントで打つ場合は若干詰まることが多くなるのだが、わざと詰まらせることでバットにボールを乗せて打ちたい方向にボールを運んで行くことが可能になる。もちろん技術としては非常に高度ではあるが、片岡選手のレベルであればそれも可能になる。

なぜバットにボールを乗せて運ぶことができるかと言うと、1のポイントで打った時よりも、2のポイントで打って詰まらせた時の方がバットとボールが接している時間が長くなる。1のポイントで140kmのボールを打った際は、バットとボールが接している時間は1/1000秒程度。しかし2のポイントで打つとこれを1/800秒程度に引き伸ばすことができる。わずかに1/200秒という差でしかないのだが、野球というスポーツはこの差が結果を大きく左右させる。

2のポイントで打つと、打球の飛距離はそれほどは伸びない。だが1にはないメリットが生まれる。それはタイミングを外された時だ。スローボールでタイミングを外された場合、2のポイントで待っていればそれは1のポイントに移ることになる。つまりホームランゾーンだ。片岡選手やイチロー選手のようなタイプの場合、ホームランになる確率はもちろん高くはないのだが、1で打ちそこなったシングルヒットが、2のポイントでツーベース・スリーベースになる確率が高くなる。

逆に差し込まれた場合は3のポイントに移ることになる。これは佐藤友亮選手や、左打席での赤田将吾選手、もしくは往年の辻初彦選手がよく使っているポイントだ。もちろんこのポイントはヒットを打つためのポイントではなく、ファールを打つためのポイントとなる。野球というスポーツは、ファールであれば何十回打ってもアウトになることはない。このルールを最大に利用できるのがこのポイントなのだ。

体の前までボールを呼び込むことができれば、両目の均衡を保った状態でボールを打ちに行けるため、よほどタイミングが外されない限りは高い確率でバットにボールを当てることができる。この時手首を返して行かなければ、ボールはほぼ確実にファールゾーンに転がって行くだろう。このポイントで際どいコースはカットしておいて、2のポイントに絶好球が来るまで待つ、というのが、現在片岡選手が取り組んでいる新打法だ。

この打法を自分のものにすることができれば、片岡選手は今季間違いなく3割バッターになることができるだろう。だが右打者であるが故に、森打撃コーチの言う200安打というのは非常に難しい。可能性がないということはないが、右打席というのは、左打席に比べると1塁までの距離が長い。その分左バッターよりも内野安打が減ってしまうため、右打者の200本安打というのは、簡単に口に出せるような数字ではない。

とにかく毎年新しいことにチャレンジし、常に進化を目指している片岡選手は本当に素晴らしいと思う。もし片岡選手が頭を使うセカンドというポジションではなく、もっと本能的に動くことができるポジションであったなら、ひょっとしたら手の付けられないレベルのバッターになっていたかもしれない。だが逆に片岡選手がセカンドにいるからこそ勝てた試合も多々ある。やはり片岡選手にはセカンドを守りながら、首位打者争いに加われるバッターに進化してもらいたい。今季もし片岡選手と栗山選手が首位打者争いを繰り広げることがあれば、ライオンズは間違いなく独走するだろう。

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2010年02月18日 16:07 


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