
雄星投手は開幕ローテーション入りを果たせるか

プロ野球ファンならずともその活躍に注目しているライオンズのルーキー雄星投手。果たしては彼は開幕ローテーション入りを果たすことはできるのだろうか?雄星投手を視察した人物は口々にその良さを褒めているが、しかし開幕ローテーションとなると話は別だと思う。
日曜日の昨日は、西武第二球場の室内練習場に東尾修さんが視察に訪れたらしい。東尾さんは卓越した投手理論の持ち主で、投球を見ればその投手の良い点、悪い点を正確に見極めることができる。その東尾さんの評価は、雄星投手は江夏豊投手になれる可能性を秘めている、というものだった。これは東尾さんにとっては最高の賛辞だと思う。
筆者は江夏投手の現役時代をほとんど知らない。そのため映像や書物以外からの知識はない。だが東尾さんのコメントによれば、基本は真っ直ぐだけのピッチャーだったようだ。緩急をつけるためにカーブを投げることもあったようだが、基本的にはストレートを内外に出し入れしながらのピッチングだったらしい。
だが江夏投手のようなピッチングは、ストレートの質がよほど高くなければ非常に難しい。例えばストレートがシュート回転やスライダー回転してしまうと、内外の出し入れもその分コースが甘くなってしまう。しかし東尾さんのコメントによれば雄星投手のストレートは、入団1年目の同じ時期の松坂大輔投手より上を行っているようだ。変化球を加えての全体の評価であれば松坂投手の方が上かもしれないが、ストレートの質に関しては雄星投手の方が上を行っているらしい。
雄星投手は、変化球はいくつも投げることができる。しかしその中で試合で投げられる球種となると、今はまだスライダーだけのようだ。いくらストレートの質が高いとはいえ、先発ピッチャーがスライダーだけで勝てるほどプロの世界は甘くはない。それは東尾さんが1番よく分かっていると思う。そのため先発ローテーションの話題になると、東尾さんのコメントは少し濁り気味だった。少なくとも現時点においては、雄星投手は先発ローテーションクラスのレベルではないのだろう。
江夏投手が活躍していた時代と、現在ではプロ野球の環境はまるで違う。今はバッティングマシンを使えばいつでも150km以上のボールを打つことができる。もちろんバッティングマシンで打てたからと言って、それが打席での結果に直結することはないが、しかし動体視力を150kmに対応させるための練習としては十分だ。150km以上のボールに目が慣れている選手であれば、ストレートとスライダーだけと分かっていれば簡単に打ってしまうだろう。
恐らく春季キャンプに入れば、雄星投手は岸投手からカーブを教わるだろう。もし雄星投手が「岸カーブ」をマスターすることができれば、先発ローテーション入りも現実味を帯びてくると思う。だが今現在でと考えると、先発ローテーション入りは非常に難しいだろう。
ライオンズには涌井投手、岸投手、帆足投手、石井一久投手、西口投手、野上投手と、先発投手陣は非常にレベルが高い。雄星投手がこの中に食い込んでいくためには、それこそ誰もがあっと思うピッチングが必要になってくるだろう。
ちなみに99年、東尾監督が松坂投手を見て「行ける」と思ったのは、春季キャンプ終盤だったと言う。そしてプロ初先発を果たしたのが、開幕2カード目での日本ハム戦だった。雄星投手が松坂投手に並ぶためには、やはりあと1つ使える変化球がないと難しいだろう。だが春季キャンプで「岸カーブ」をマスターすることができれば、それは開幕ローテーション入りの切符と考えて間違いないと思う。
2009年の夏から秋にかけて見た雄星投手は、まだまだ荒削りでプロで通用するレベルではなかったと思う。だが秋から冬にかけての練習の成果なのか、どうやら去年の夏とは比べられないほどの成長を見せているようだ。これだけ速いペースで成長して行ければ、松坂投手以来となる高卒ルーキーの開幕ローテーション入りも、夢ではないかもしれない。


2010年01月25日 11:55 Tweet


