
#58 松坂健太

#58 松坂健太 - Kenta Matsusaka
外野手、右投右打
2003年ドラフト5順目
東海大学付属仰星高校~埼玉西武ライオンズ
大阪府大阪市旭区出身、1985年8月16日生、186cm / 88kg
2009年推定年俸:1000万円
松坂健太選手は筆者が見ている限り、非常に潜在能力の高い選手だと思う。だが打撃に関しても、守備に関しても、「もったいないなぁ」と感じる個所が多いことも事実。筆者が感じるそういう個所を1つずつ修正していければ、松坂選手はすぐにでも化けるだろう。
2009年秋季キャンプだが、松坂選手は打撃フォームの改造に取り組んでいるらしい。ミート力を上げるために、立てて構えていたバットを寝かせ気味に構えるというフォームに着手している。だが筆者が思うにこのフォーム改造は成功しないと思う。もちろんボールを叩くという意味では効果はあるかもしれないが、これで打率が上がるとは筆者には思えない。
筆者の自論にて言わせてもらえるのなら、松坂選手は元々ミート力の高い選手だ。高校通算の打率も4割近い数字を残しており、ミート力の高さに関しては元々並外れたものを持っている。ではなぜプロに入ってからはなかなか数字が上がってこないのか?その理由は簡単で、高校生とプロでは、ピッチャーのレベルがまるで違うからだ。それはもちろんファームのピッチャーも同様。ちなみに松坂選手の2009年のファームでの打率は.285という数字だった。これではなかなか1軍には呼ばれないだろう。
高校時代は、それほどずば抜けた実力を持つ投手との対戦は少なかった。だがプロに入れば例えばファームと言えども、高校時代にはずば抜けていたピッチャーばかり。そんな状況下で、高校時代と同じバッティングをしていては当然結果は残せない。だからと言ってフォームを改造してもそれは根本的な解決にはならない。
松坂選手がプロに入り打率を残せない要因は、フォームではなくタイミングの取り方にある。野球というスポーツはピッチャー主導のスポーツだ。ピッチャーがボールを投げてくれない限りはゲームにはならない。つまり、ピッチャーのタイミングで進行して行くのが野球というスポーツなのだ。だが松坂選手はプロに入ってからもずっと、自分のタイミングで打席に立ってしまっている。つまりそれは、ピッチャーからしたらタイミングを外しやすいバッターということになってしまうのだ。
一流バッターは、バッターボックスに入ると決して自分のタイミングではボールを待たない。常にピッチャーのタイミングで打席に立っている。例えば中島選手は身体を前後に揺らしながらピッチャーのタイミングを計り、中村選手はグリップを上下に揺らしながらピッチャーのタイミングを計っている。これは「動~静~動」という流れのバッティングだ。
最初の動は身体を揺らすことでピッチャーの動きに自分の動きをアジャストさせる。それができると今度はテイクバックしてピッチャーのタイミングでボールを待つ静。そして2つ目の動はスウィングだ。この流れが中島・中村両選手なのだが、これが松坂選手の場合「静~動」という最初の動がない短い流れになってしまうのだ。
つまりこれは受身のバッティングという意味だ。ピッチャーからすると、バッターに受身で待ってもらえるほど楽なことはない。緩急を使えば簡単に打ち取れるからだ。だが反対に中島・中村両選手のように能動的に待たれてしまうと、どこに投げても打たれるような感覚を覚える。
中島・中村両選手のバッティングが、ピッチャーがボールを持っている時から始動しているのに対し、松坂選手のバッティングは、ピッチャーがボールをリリースする状態になってやっと始動する。球速も遅く、変化球の精度も低い高校時代はこれでも十分通用したが、プロでは松坂選手のバッティングは通用しない。
だからこそ筆者は、松坂選手にはバットを寝かせる前に、中島・中村両選手のタイミングの取り方を学んでもらいたかったわけだ。バットを寝かせたということは、長打を捨てたという意味での取り組みだと思う。だが中島選手の長打率.493に対し、松坂選手のファームでの長打率は.512なのだ。この高い数字を捨ててしまうのはあまりにももったいない。
元来松坂選手はミート力のあるバッターなのだ。1軍でその実力を発揮するには、あとはタイミングの取り方だけ。バッティングの始動をピッチャーの動きに重ね合わすことができれば、松坂選手は面白いようにヒットを打ち始めるはずだ。
ピッチャーというのは、前脚をステップする前ならモーションの調整が可能なのだが、ステップし出したらもうそれを止めることはできない。ピッチャーにタイミングを合わせるということは、このステップの動きに身体の揺らしなどをアジャストすることなのだ。このタイミングを合わせることができれば、あとは合ったタイミングで飛んでくるボールを待って打つだけ。
松坂選手は将来は間違いなく外野の一角を担ってもらわなければならない選手だ。来年は25歳になり、もうそろそろ若手とは呼んでもらえない年齢に差し掛かる。だからこそ2010年は松坂選手にとって、大きな勝負の年になるだろう。
そしてもう1点筆者が気になることがある。それはスローイング。松坂選手は強肩のはずなのだが、どうも外野からのスローイングに強さが感じられない。それで松坂選手の守備練習をしている映像をじっくり見たのだが、その理由がすぐに分かった。理由は2つ。肩甲骨が使えていないということと、テイクバックが小さいということだ。
まず肩甲骨だが、松坂選手のスローイングを見ているとあまり動きが感じられない。肩甲骨をもっと脊柱側にグッと引き込んで、その反動で腕をスウィングさせる必要がある。そのために理想的なテイクバックが、もっと肘を肩の高さまで上げるものだ(ただし筋力でこの動きをとってはいけない)。
これは松坂選手だけに言えることではないのだが、スローイング動作を速くしようとするあまり、テイクバックをあまり取らない外野手が多い。肩を壊した経験のある外野手の場合は再発の恐怖感でテイクバックを取れなくなることもあるのだが、松坂選手はその中には含まれないだろう。
外野からイチロー選手並のレーザービームを発射する際、大切なのはテイクバックの深さと前脚の股関節を使ったボディースピンだ。これが出来ることでレーザービームを発射することが可能になる。
野球というスポーツも、焦るほど良い結果は出ない。送球を焦って小さいフォームで投げても矢のようなバックホームはできない。だが焦らずにしっかりとしたモーションでボールを投げれば、例え捕球からリリースまでの時間は0.数秒遅れたとしても、ボールがキャッチャーまで届く時間は、ボールのスピードによって軽減させることができる。
筆者が松坂選手に求めるのは、まさにそのスローイングだ。もし機会があれば、松坂選手とイチロー選手のスローイング映像を見比べてもらいたい。特にテイクバックと、頭部の使い方を。イチロー選手は今でこそ世界が誇る強肩フィールダーだが、オリックス時代の1年目はひどいものだった。センターの守備位置から、とてもプロとは思えないような弱い返球しかできなかったのだ。だが2年目、テイクバックなどを改良した結果、今のようなレーザービームを発射できるようになった。決して筋肉が増えたから発射できるようになったわけではない。
「イチローになれ!」とまでは言わないが、筆者としては松坂選手には、イチロー選手のような日本でなら3番を任せられるだけの選手になってもらいたいと思っている。もし松坂選手が攻守でレベルアップし、3番の中島選手を脅かすような存在になれれば、ライオンズの打線はさらにグレードアップするだろう。そのためにも松坂選手には、秋季キャンプ・春季キャンプでしっかりとレベルアップし、2010年を怪我なく迎えてもらいたいと思う。
| 打撃成績 Batting Results | ||||||||||||||||||||||
| 試 合 |
打 席 |
打 数 |
得 点 |
安 打 |
二 塁 打 |
三 塁 打 |
本 塁 打 |
塁 打 |
打 点 |
盗 塁 |
盗 塁 死 |
犠 打 |
犠 飛 |
四 球 |
敬 遠 |
死 球 |
三 振 |
併 殺 打 |
打 率 |
出 塁 率 |
長 打 率 |
|
| 2007 | 3 | 10 | 9 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 | 5 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | 0 | .222 | .300 | .556 |
| 2008 | 55 | 100 | 91 | 11 | 24 | 6 | 3 | 1 | 39 | 12 | 2 | 2 | 2 | 0 | 2 | 0 | 5 | 29 | 1 | .264 | .316 | .429 |
| 2009 | 23 | 43 | 36 | 7 | 6 | 2 | 0 | 1 | 11 | 5 | 2 | 0 | 1 | 0 | 3 | 0 | 3 | 8 | 0 | .167 | .286 | .306 |
| 通算 | 81 | 153 | 136 | 19 | 32 | 8 | 3 | 3 | 55 | 18 | 5 | 2 | 3 | 0 | 5 | 0 | 9 | 40 | 1 | .235 | .307 | .404 |


2009年11月04日 15:29 Tweet


