
12球団合同トライアウト、いよいよ明日

12球団合同トライアウトがいよいよ明日に迫った。現在のルールでは戦力外通告された選手と、他球団との直接交渉はトライアウト後と定められている。そのため他球団で戦力外にされた選手に興味を持っていても、トライアウト後までは獲得意思を示すことは出来ない。
今オフ、ライオンズが関心を持っている戦力外にされた選手は、前横浜ベイスターズの工藤公康投手と、前阪神タイガースの今岡誠選手だ。ただこの2選手を本当に獲得するかは明日になってみないと分からない。
だが工藤投手に関しては獲得する可能性は非常に高いと筆者は見ている。渡辺監督も工藤投手に関して、戦力として非常に魅力があると評価しているし、球団側も興行面での工藤投手の集客力には期待しているはずだ。確かに年齢的な問題はあるが、プレー以外でもプラスが望める工藤投手を2000万円前後で獲得できるなら、チームにとって損はないだろう。そしてファンの多くもそれを強く望んでいる。
一方の今岡選手に関しては、引退した江藤選手の穴埋めを期待しているようだが、こちらはどうなるかは分からない。トライアウトは11日と25日で2回行われるのだが、11日から参加するという情報や、25日しか参加しないという情報が錯綜している。ただ内野ならショート以外の3ポジションを守れる点や、打撃力を考えると非常に魅力的な選手だ。打撃に関しては、デーブ大久保コーチの指導を受ければ何か切っ掛けを掴むことはできるだろう。
また、可能性としては三井浩二投手、岡本慎也投手の再獲得もないとは限らない。日本ハムが坪井選手を戦力外にして、トライアウト後に再獲得した例もあるし、一概には言えない。日本ハムのこの再獲得には賛否両論あったが、筆者としてはありだと思っている。選手は一度クビを味わうと、ハングリー精神に火が付く。これを呼び起こすためには戦力外後の再獲得は、球団にとっては1つの戦略と言えるだろう。
しかもただ選手のハングリー精神を呼び起こすだけではなく、戦力外にされた選手であれば、非常に安い年俸で再獲得することができる。球団経営的にも決して悪くはないと思う。
選手の年俸というのは、基本的には過去の実績に対して与えられるものだ。だから筆者としては、大幅な減俸は球団経営を健全化させるためにも必要だと思う。もちろん選手からすればたまったものではないが、一度戦力外にして、1億円近い年俸を1000万円前後まで落として再獲得するというのは、決して悪い判断ではないと思う。もしその選手に1000万円以上の価値があるのなら、他球団がもっと高額な年俸を提示してくるはずだ。
今年ライオンズを戦力外になったのは三井投手(5700万円)、岡本投手(8100万円)、山本歩投手(800万円)、三浦貴選手(800万円)の4人だ。このうち三井・岡本両投手に関してはすでにトライアウト参加を明言している。2投手とも現役続行に自信を持っているようだが、しかし今シーズンは2人共に年俸に見合うピッチングはできなかった。
三井投手は2008年が防御率7.50、2009年が6.23。岡本投手は2008年が3.83、2009年が3.97だった。三井投手は2008年から急激に数字が悪化した。だが筆者としては2投手共に戦力外は予想していなかった。大減俸をして来季への奮起を促すと思っていた。
西武復帰があり得ないとしても、この2投手には他球団で頑張ってもらいたいと思う。三井投手は長年に渡り西武投手陣を支えたリリーバーだし、岡本投手も社会人を含めると7球団を渡り歩いた苦労人だ。だからこそここで終わることなく、2人には少しでも長く野球選手でいてもらいたいと思う。
戦力外通告された選手にとっては、明日はまさに運命を左右する1日となる。プロ野球という世界は非常に厳しい。例えば子どもが生まれたばかりの20代中ごろのドラフト1位選手であっても、成績を残せなければ容赦なくクビを切られる。「高い年俸をもらっているんだから見合う活躍をしろ」と言うファンもいるだろう。しかし短い選手人生においての年俸数千万円は、決して高くはないと思う。
グローブだってプロ仕様のものは10万円前後するし、バットやスパイクだって1本・1足は2~3万円する。トッププレイヤーであればメーカー側が提供してくれるが、成績を出せていない選手は道具はすべて自分で購入しなければならない。さらにはサプリメント費用だってプロ選手の場合は毎月数万円かかる。
プロ野球選手は、子どもの頃から野球しかしてこなかった人がほとんどだ。長嶋茂雄監督だって大学入試は、答案用紙に自分の名前しか書けなかったほどだ。だが長嶋監督のようにスターになれれば引退後の活路も多々ある。だがそうじゃない選手は引退など許されず、クビを通告されるのみ。そして野球しか知らない選手たちが一般企業に再就職することは非常に困難なことだ。
野球界もJリーグを見習って、数年前からセカンドキャリアに対して考えるようになったものの、まだまだそれは不十分だと思う。もっと日本各地に野球アカデミーを設立するなど、国技としての野球をもっと底上げする活動が必要だ。そうすれば戦力外になった選手たちの活路も広がっていく。
プロ選手である以上甘い考えは通用しないが、しかし努力だけで生き残れる世界でもない。だから明日のトライアウトではライオンズを戦力外になった選手だけではなく、1人でも多くの選手が再契約してもらえることを一野球ファンとして祈りたいと思う。


2009年11月10日 22:08 Tweet


