
●2009/09/12 西武vsオリックス23回戦

| 2:53 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| オリックス | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 3 | 4 | 0 | |
| 埼玉西武 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 6 | 0 |
埼玉西武vsオリックス 23回戦 西武ドーム(観衆:21,547人)
埼玉西武ライオンズ 14勝9敗0分
継投:●岸孝之~大沼幸二~星野智樹~ベイリス
敗戦投手:岸孝之 12勝3敗 3.02
ホームラン:G.G.佐藤(19号)
【ダイジェスト】
【ゲームレビュー】
先発はオリックスを相手に8連勝中と滅法強い岸投手だったが、この日は2年ぶりにオリックス戦で黒星を喫してしまった。3-2というロースコアではあったが、岸投手への期待度を考えると、2-1で勝たなければならない一戦だった。小野ピッチングコーチもその期待度から7回の2失点を残念がっていた。
まず先制点となったローズ選手に浴びた一発だが、これは完全にコントロールミスだった。銀仁朗捕手はもっと内側にミットを構えていたのだが、ボールは真ん中付近に行ってしまった。これがもし銀仁朗捕手の要求通りの場所に行っていれば、ホームランにはならなかったと思う。ここでは被本塁打20本とリーグワーストの岸投手の弱点が出てしまう形となった。
岸投手の一発病は入団当初から言われていたことだが、これには2つの大きな要因が考えられる。まず第一に、単純にパワー不足は否めないだろう。例えば岸投手は180cmで68kgなのだが、涌井投手185cmで85kgある。身長差はわずか5cmなのに、体重差は17kgもある。17kgのダンベルがあったとしたら、これはそうとう重い。G.G.佐藤選手のような筋肉でもない限り、普通この重さのダンベルを片方の上腕二頭筋でカールアップさせることは難しいだろう。
岸投手と涌井投手には、つまりそれだけパワーの差がある。そして17kgという数字は、1年や2年で簡単に身に付く筋肉量ではない。このパワーの差が、球速以上に球質に現れている。つまり岸投手にはまだ、バットを弾き返すだけのパワーがないのだ。逆に涌井投手が投げるボールには、ジャストミートされてもバットを押し返すだけのパワーがある。その証拠に涌井投手は岸投手よりも16イニング多く投げているのに、打たれたホームラン数は岸投手の半分の11本だ。
そして筆者はもう1つ、岸投手がホームランを打たれやすい理由があると考えている。それはボールの素直さだ。アマチュア野球でよく見られる光景なのだが、日本のコーチは素直な回転のボールを投げるように指導をする。つまり腕を真上から振り下ろし、垂直に近い角度で回転するボールを投げさせようとする。岸投手にもこれは当てはまる。岸投手のボールの回転は非常に素直で、とてもキレイな回転をしている。そのためバットを合わせられてしまうと、ボールの回転軸とバットが出てくる角度が合ってしまい、ボールのパワーが素直にバットに伝わり、ボールが遠くまで飛んで行ってしまう。
このボールの回転軸の角度が例えば45℃になると、ファールを打たせやすくなる(スリークォーターに近い回転軸の角度)。水平に近い角度で出されてくるバットに対し、45℃の回転軸でボールがぶつかることで、ボールのパワーがバットに伝わりにくくなり、長打を回避させることもできる。
これがもし、松坂大輔投手や藤川球児投手のように、毎秒40回転以上のボールを投げられれば回転軸は垂直に近くても構わない。むしろこの場合はより垂直に近い方がマグナス力が働き、重力に対しボールが沈みにくくなる。つまり、バッターからするとホップしているように見える。
(マグナス力:空気抵抗に対し、回転方向側にボールが動こうとする力のこと。垂直に近い回転軸でストレートを投げた場合、ボールを上へ向かわせるマグナス力が働く)
上記の2点を考えていくと、失投以外で岸投手が被本塁打を防ぐためには、やはりパワーアップしか道はないだろう。もし回転軸の角度をいじることになると、それはフォーム改造に直結してしまうため、これは現実的ではない。岸投手の周りには涌井投手だけではなく、ダルビッシュ投手も友人としている。涌井・ダルビッシュ両投手は、投手的ウェイトトレーニングを得意とするだけに、この身近な手本を活かして岸投手ももう少しパワーアップしていってもらいたいと思う。そうすれば被本塁打を劇的に減らすことも可能だろう。
あとは岸投手自身が、今後どういうピッチャーに進化していきたいかということになる。少なくともあと15年は現役で投げたいのなら、今から5年後(30歳)の準備をしておくことも必要になってくると思う。そして今後ライオンズが黄金時代を築くためには、さらに進化した岸投手の力が絶対に必要だ。


2009年09月15日 06:33 Tweet


