
西武の4番に相応しいのは誰だ?筆者独自の4番哲学

ライオンズは今チームが非常に苦しい状況の中、怪我で4番打者をも欠くことになってしまった。怪我に強い中村剛也選手が、いくら大事を取ったからと言って欠場したからには、決して軽い怪我ではないのだろう。全治1週間~10日くらい掛かるかもしれない。そんな中注目された代役4番だが、渡辺監督はまず後藤武敏選手を起用し、そして翌日には中島裕之選手を起用した。筆者的にはどちらも4番を任せるに足る選手だと思っている。
その他4番候補としてはG.G.佐藤選手もいるが、G.G.佐藤選手が4番に座ることは今シーズンはもうないだろうと筆者は考えている。その理由を今日は、コラムとして書いていこうと思う。
まず筆者の野球論から見た4番像だが、単に打てるだけのバッターでは4番は務まらない。例えばもしG.G.佐藤選手が現段階で3割20本打っていたとしても、恐らく渡辺監督は4番には据えないだろう。渡辺監督自身常々語ってきたように、4番にはオーラがなくてはいけない。だがG.G.佐藤選手からはそのオーラがなかなか出てこない。
オーラがあったライオンズの4番といえば、誰もが思い浮かべるのが清原和博さんだろう。彼は本当に素晴らしい4番打者だった。もし清原選手がいなければ、ライオンズが常勝チームになれていたかは分からない。黄金時代を率いた森監督や、現ホークス監督で西武黄金時代は3番を打っていた秋山監督が口を揃えてこんなことを言っていた。「清原がもしチームバッティングに徹していなかったら、彼は三冠王になれていたはずだ」と。清原選手は現役時代、一度も打撃タイトルを獲得していないため、無冠の帝王などと呼ばれているが、しかしあれだけライオンズが優勝を重ねたことこそ、清原選手のタイトルではないだろうか?
さて、話を4番論に戻そうと思う。筆者が考える4番像とは、まず前述のオーラが1つ。打席に立つだけで、何かしてくれそうな雰囲気を持っているということだ。そして打席に立つだけで、球場全体のボルテージを上げられる選手であるということ。過去のライオンズでは清原選手、高木大成選手、アレックス・カブレラ選手らがそういうオーラーを持っていた。大成選手は4番タイプではなかったが、しかし大成選手が打席に立った際のドームの盛り上がりは、ファンならきっと覚えているだろう。
そして2つ目は、身長が180cm以上あること。185cm前後ならなお良い。ライオンズなら清原選手が188cm、カブレラ選手が185cm、中島選手が180cm、G.G.佐藤選手が184cmだ。なぜ身長が必要かと言うと、単純にリーチの問題である。190cm以上になると内角球に大きな弱点を抱えることになるが、185cm前後であれば、それほど内角球を苦にすることもない。そしてアウトコースに逃げていくスライダー系のボールにも届くため、バッター個人としてのストライクゾーンを広げることができる。ストライクゾーンが広がれば、ピッチャーは自ずとボールゾーンで勝負しなくてはいけなくなり、バッターとしてはそこからフォアボールを稼ぐこともできる。そういう意味でも身長は185cm前後が望ましい。
そして3つ目は、チャンスでホームランを打てること。やはりチャンスでホームランを打てないようでは4番打者としては格好が悪い。チャンスでホームランを打ってこそ4番バッターなのだ。今年のライオンズでは、中島・中村・後藤の3選手が自身のホームラン数の内1/3をチャンスで打っている。ちなみにG.G.佐藤選手は今年、チャンスでは1本もホームランを打っていない。
4つ目は、勝利にこだわれるという点。4番だからと言って、長打ばかりを狙えば良いというわけではない。むしろそういうバッターは、4番としては失格だ。4番を打つバッターは、常に勝利にこだわる必要がある。チームが勝つためには自分はどうすればいいか、そのことを常に考えながらプレーできるかどうかが、4番としての資質と言える。そういう意味では、清原選手はライオンズ史上最強の4番バッターだったと言えるだろう。
ホームラン数ではカブレラ選手に及ばないが、しかしカブレラ選手はチームバッティングをあまり好まない選手だった。シングルヒットで良い場面でホームランを狙いに行き三振をする、それがカブレラ選手だった。だが清原選手はそうではなかった。シングルヒットで試合に勝てる場面では、ホームランを捨ててチームバッティングに徹していた。西武球場で何度清原選手の勝利打点付きのライト前ヒットを見たことか。
今年のライオンズでは、中島・中村・後藤の3選手はやはりそれが出来ている。ヒットで勝てる場面はムリして長打は狙わず、反対方向へのバッティングを心がけているように見える。
そして5つ目だが、これはバッティングフォームにある。構えの段階でバットを立てていて、始動したらハンマースウィングができるバッターが4番として相応しい。なぜバットを立てる必要があるかと言うと、バットを立てて構えることでスウィング時に、より強い遠心力を得ることが出来る。つまりヘッドスピードが上がるということだ。逆に中島選手のようにバットを寝かせて構えるスタイルは、ミート重視だと言える。バットを寝かせて構えることで、始動前からバットをスウィングの軌道上に置くことができ、そうすることでボールを点ではなく、線で捕らえることが出来る。つまりミートをするための奥行きが広がるということだ。
またハンマースウィングとは、軸足に体重を残したまま、遠心力でバットを振り抜く打法のことである。ライオンズでは田淵幸一選手が得意としていた。ハンマースウィングをすることで打球の飛距離が飛躍的に伸びていく。ライオンズではG.G.佐藤選手がこれに近いスウィングを見せることがあるが、まだ安定感はないようだ。
以上のような筆者の4番論と照らし合わせていくと、今4番に相応しいバッターは中島・中村・後藤の3選手になると思う。中島選手は近年ホームラン率は高くはないが、しかしそれは3番を打っているためだろう。もし4番に座っていれば、毎年30本打つ力は十分にある。中村選手の場合は、チャンスでの打率が.280台と高くはない。これが.320を超えてくれば、4番としては文句のつけようがなくなるだろう。また後藤選手に関しては、まずは常に1軍にいるということが重要だ。常に1軍にいることができれば、ファームで見せて来たようなハイアベレージ、そしてホームランを打てるパワーは4番として十分なものだ。
そして後藤選手はハートが良い。チームの勝利のために最も熱くなれる選手の1人だと筆者は思っている。「もしもう一度腰痛を起こしたらその時は仕方ない、そういう気持ちでやっていかないと自分のスウィングができない」と公言している。怪我を恐れず勝利に貢献しようとするこの精神こそ、4番に必要なハートだ。G.G.佐藤選手にはこういう面をしっかり見習ってもらいたい。
筆者が心配なのは、ファンの心がG.G.佐藤選手から離れていってしまうことだ。現に日刊埼玉西武ライオンズでも、G.G.佐藤選手が活躍してもG.G.ページのアクセス数がほとんど増えてこない。ベスト10にもまったく食い込んでくる気配がない。こういう点から見ていっても、G.G.佐藤選手には何か大きなものが足りないのだろう。そのことにG.G.佐藤選手自身が気づいてくれれば、彼はもっと素晴らしい選手になっていけると思う。
日付が変わって8月22日は、ライオンズクラシックで西武ドームに清原和博さんが訪れることになっている。そして4番に座るであろう中島選手、何か因縁めいたものを感じずにはいられない。ライオンズの背番号3を背負う2人の競演。しかもこのタイミングで4番に座った中島選手。中島選手はもう不振は脱したと思う。背番号3の偉大な先輩の前で不振のままいるような中島選手ではない。22日の試合では、きっと豪快な一本を放ってくれると思う。


2009年08月22日 04:06 Tweet


